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「フランスを立て直す」と「日本をリセット」が重なって見える

 こうして2人とも、あっという間に「風」を巻き起こしていった。

 ところが、政策を「実行する」ことについては、2人ともに、疑問符を付けざるを得ない。

 第二のポイントはここだ。

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 小池氏は、豊洲移転でもオリンピック会場でも一旦ストップはするものの、その後がなかった。べつに「安心」についても「安全」についてもさしたる変化があったわけではないのに豊洲移転を認め、さらに財政的な裏付けも曖昧なままそのあと築地に戻るという奇妙な案を出した。オリンピック会場も結局、元の木阿弥になった。

 また、小池氏は、「希望の党」の結党会見の冒頭あいさつで「日本をリセットするためにこの『希望の党』を立ち上げる。しがらみがないからリセットできる。今、この時期に日本をリセットしなければ、国際間競争、日本の安全保障を十分に守りきれない」などと語っていたが、衆院選がはじまっても、小池氏は漠然とした「希望」を謳い、政権批判を繰り返すだけで具体的な政策は一向に見えてこない。「ワイズスペンディング」で1兆円はすぐ出てくる、などとも言っているが、民主党が政権を取った時の「埋蔵金」とどう違うのか、よくわからない。

©文藝春秋

 ル・ペン氏も、大統領選で「ユーロ離脱」を言い出したはいいが、「具体的に何をするのか」と問われると、ずっと答えられなかった。挙句、ギリギリになって「国内はフランに戻すが、対外的にはユーロにする」と夢物語を語り出した。

 そもそも国民戦線(FN)は、父ル・ペン氏の私党で、80年代はじめに、従来の行動右翼的なガチガチの極右政党からイメージチェンジして、ソフト路線に切り換えた。それ以来、つねに時代に乗った政策だけを語っている。当初は、サッチャーばりの新自由主義を掲げていたが、格差など新自由主義の矛盾が明らかになった現在は、「人民のために」と、社会民主主義の主張をする。

 さらにル・ペン氏は党内権力を掌握するやいなや、ファシストというイメージをもたれていた父のイメージを排除するため、反ドゴール主義などFNの思想的根幹部分の旗でさえ降ろしてしまい、FN内には乗っ取られたという不満も多い。これこそ、一本筋の通った理念があるわけではなく、「人気」「風」だけを意識している証左である。

 そして大統領選に負けたル・ペン氏は、今や党内の支持さえおぼつかなくなってきている。たとえば、ル・ペン氏は反EUを旗印として快進撃を続けてきたにも関わらず、「反EUのせいで選挙に負けた」と党内部から突き上げられている。果たして、総選挙後の小池氏は……。

 ル・ペン氏も、小池氏も、ビジョンを持っていなかったのではないかと疑われても仕方がない。私には、ル・ペン氏の「フランスを立て直す(整理整頓する)」と小池氏の「東京大改革」「日本をリセット」が重なって見える。