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観光地や空港にもカプセルホテルが

 カプセルホテルの立地はほとんどが大都市部。都市に根づいた宿泊施設という印象だ。一方、地方都市や観光地にも秀逸なコンセプトで展開する施設が増えている。進化系カプセルホテルを立地で分類した場合、「都市型」「観光地型」「エアポート型」にカテゴライズできる。京都など観光地にも増加している一方、成田空港の「ナインアワーズ」、羽田空港・関西国際空港の「ファーストキャビン」、中部国際空港の「TUBE Sq」など、空港とカプセルホテルとの親和性の高さもうかがえる。また駅直結といった施設も注目されており、アクセス至便も特色のひとつといえよう。

空港とカプセルホテルは意外にマッチ?

 立地も多様化しつつあるカプセルホテルであるが、その発祥は大阪といわれている。一方、最も発展したのは東京。隣接業態であるビジネスホテルの料金が、東京とくらべ大阪は低料金帯だったこと、ホームタウンへの距離感も東京と比べ帰宅しやすいロケーションだったことなどが、大阪でカプセルホテルの発展が見られなかった要因とされる。とはいえ、近年の需要の高まりもあって、いまや大阪は秀逸なカプセルホテルが多い注目エリアでもある。

ビジネスホテルvs.進化系カプセルホテル

 進化系カプセルホテルの料金帯は、立地等により一概に区分できないが、ビジネスホテルよりも安いことは当然と思いきや、旧態型のビジネスホテルよりも高い進化系カプセルもみられる。ハイクラス5000円~/シンプル3000円~/キャビン4000円~といったイメージだろうか。一方、旧態型の施設では1000円台といった設定もみられ、進化系の進出で旧態型のレートが低くなった印象がある。かような進化系カプセルホテル、特にハイクラスタイプやキャビンタイプの料金体系は一般のホテル業界の活況と無縁ではない。

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 インバウンド需要の高まりを要因とするビジネスホテル稼働率の上昇は、これまで5000円程度で利用できたビジネスホテルが1万円、中には2万円オーバーといった現象もみられた。他方、まだまだ高レートとはいえ、一時と比較してビジネスホテルの料金変動も落ち着いてきた感がある。仮にビジネスホテルで5000円以下という料金が一般的となった場合、進化系カプセルホテルとの競合も気になるところだ。

 個室が当然の一般ホテルと比較して、限定的なプライバシー空間が特徴のカプセルホテル。進化系とはいえ完全な個室ではないだけに音の問題もある。一方、パブリックスペースの滞在時間も長い業態ならではの「観光体験型宿泊施設」としての魅力を打ち出すカプセルホテルの登場も予想される。この点では、同じく簡易宿所にカテゴライズされるホステル・ゲストハウスが先行しているが、カプセルホテルならではの新たなアプローチにも可能性が期待されるところだ。