今年3月より大阪地方裁判所某支部で行われている刑事裁判。大阪府郊外の町で金属部品加工の工場を営むヤマモトシュウジ被告(50代・仮名)は、自身が経営する町工場の従業員で愛人だったA子さん(40代)の娘であるB子ちゃんに対して、「強制わいせつ」「強制性交」を犯した罪に問われている。検察は、B子ちゃんが小学3年生の頃から性暴力の被害に遭い、自殺を考えるほど追い込まれていたと指摘した。だが、ヤマモト被告は逮捕当時から容疑を否認。B子ちゃんが訴えた性被害も「作り話だ」と供述しているという。

ヤマモトシュウジ被告

 6月2日に開かれた第4回公判では、B子ちゃんが証言台に立ち、ヤマモト被告から受けた3件の性被害について訴えた(#2)。その日の午後、母親のA子さんも証言し、「(ヤマモト被告が)罪を認めないのは、自分のプライドとか立場を守るためだと思う」などと涙ながらに訴えた(#3)。

※この裁判では被告人名から被害者が特定される可能性があるため、被害者を保護する観点から「被告人名秘匿」の措置がとられています。本稿でも被害児童の特定を避けるため被告を匿名とすることにしました。

初めてB子ちゃんに会ったのは、幼稚園年少くらいのころ

 6月9日午前10時から開かれた第6回公判では、ヤマモト被告に対する被告人質問が行われた。6月7日に弁護人からの要求が裁判所に受理され、ヤマモト被告は保釈された。保釈から2日経ったこの日、ヤマモト被告は金縁のメガネに白ジャケット姿で法廷に立った。

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 ヤマモト被告の弁護人が質問を始める。弁護人はB子ちゃんとヤマモト被告との関係性について聞いた。

「初めてあなたとB子さんが会った時、B子さんは何歳でしたか?」(弁護人)

「幼稚園年少さんくらいだったかな」(ヤマモト被告)

「初めて会われた時は、B子さんの実のお父さんもまだ生きていらっしゃって、B子さんの家族とあなたと一緒にバーベキューに行っていたりしていたということでいいですか?」(弁護人)

「はい」(ヤマモト被告)

※写真はイメージ ©️iStock.com

「当時あなたはB子さんからどのように呼ばれていましたか」(弁護人)

「『××(地名)のおっちゃん』って呼ばれてました」(ヤマモト被告)

「B子ちゃんを性的な対象としてみたことはない」と証言

「その後にB子さんの実のお父さんが交通事故で亡くなられて、あなたはB子さんのお母さんと交際をすることになったという事ですね」(弁護人)

「はい」(ヤマモト被告)

 弁護人からの質問に短くヤマモト被告が答える形で質問は続き、ヤマモト被告は「お父さんを亡くして不安そうな様子でした」「私にできることがあればしてあげようと思いました」「お父さん代わりになろうと思いました」などと続けた。

 さらにヤマモト被告は、B子ちゃんの小学校の運動会や授業参観にも参加したと証言。週末は決まって、母親のA子さんとB子ちゃん、B子ちゃんの弟らと一緒に過ごしてきたと語った。「B子さんを性的な対象として見たことはありますか?」という問いには即座に「ありません」と語気を強めて答えた。