どんなときも君の目標はたった一つ
話は現代に戻って、7月10日。本拠地・楽天生命パーク宮城で行われた埼玉西武ライオンズ戦で、一軍復帰してから二度目となる先発のマウンドに涌井君は立ちました。今シーズンの課題とも言える立ち上がりこそ、無失点で切り抜けましたが、2回3回と続けて失点してしまい、チームは敗れてしまいました。本当に悔しい試合になってしまいましたね。僕もテレビの前でハンカチを噛みながらムキーッとなっていました。
野球選手とは因果な商売で、調子が良いときはチヤホヤしてもらえるけれど、そうじゃないときは辛いものです。でも、松坂投手も涌井君も、“コンディションをしっかり整えれば負けない”という日々の練習に裏付けされた自信があり、良いときも悪いときも黙々と次の登板にベストコンディションで臨めるように準備をしていました。きっと今もそれは変わらないのでしょう。
エースと呼ばれる人は何をしているか。
それは“ブレない”ということなのかもしれません。
今季、34歳で150勝を達成した涌井君は「200勝とか先のことは言われたくない」と言っていました。しかし、目標である松坂投手が日米通算170勝で球界を去ると知った時、「松坂さんから託された名球会へのチャレンジを果たす」と初めて決意を口にしましたね。
勝つときもあれば負けるときもある。良いピッチングをしても勝ち星が付かないこともあれば、内容があまり良くなくても勝ち投手になるときもある。しかし、どんなときも君の目標はたった一つ。それが“松坂大輔”。
高き壁を超えていけ。僕はもう、君を直接プレーで助けてあげられないけど、常に見守っています。涌井秀章というドラマが、いつかハッピーエンドを迎えることを祈って。
敬具
愛の波動砲・G.G.佐藤より
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