「この木なんの木」(’73年)や「パッ!とさいでりあ」(’91年)等のCMソング、『魔法使いサリー』(’66年)や『ターンエーガンダム』(’99年)等のアニソン(主題歌)、さらに『寺内貫太郎一家』(’74年)の主役・寺内貫太郎役等俳優としても活躍した、作曲家・音楽家の小林亜星さんが去る5月30日に亡くなった。死因は心不全。享年88。奇しくも「この木なんの木」(正式な曲名は「日立の樹」)や「さいでりあ」等でコンビを組んだ、名作詞家の伊藤アキラさんも本年5月15日の、同じ時刻に亡くなっており、勝手ながらお二人の強い繋がりが感じられてならない。
一度聞いたら忘れられない!『魔法使いサリー』の主題歌を考案
とにかく小林亜星さんの業績はすさまじい。万城目学原作の映画『鴨川ホルモー』(’09年)でも印象的に使用された、レナウンのCMソング「ワンサカ娘」(’61年/歌:弘田三枝子)が亜星さんの出世作だが、この卓越したセンスには半世紀を経てなお驚かされる。
その数年後、“魔女っ子アニメ”の偉大なる元祖『魔法使いサリー』の主題歌はじめ音楽全般を担当。「マハリクマハリタ ヤンバラヤンヤンヤン♪」のフレーズは生涯、耳から離れることはないだろう。また昭和42年生まれの筆者には『超電磁ロボ コン・バトラーV』(’76年)や、フィリピンでまさかの実写映画化もされた『超電磁マシーン ボルテスV(ファイブ)』(’77年)等の巨大ロボットアニメの主題歌や音楽も忘れられない。というか体の一部と化している。『コン・バトラー』は特にエンディングが鮮烈で、「身長 57メートル 体重 550トン♪」というスペック歌詞により、主役メカの基本設定を学習できてしまうシステムは画期的という他はない。この歌のお陰でコン・バトラーVだけは身長と体重が一生ものの知識となってしまった。
そんな亜星さんの偉業は、他の有識者の方たちが綴られることと思うので、ここからは亜星さんのもうひとつの顔である、“俳優”という側面にスポットを当てて、故人を偲ばせていただく。