京都の古刹、蓮久寺の三木住職の下には、今日もさまざまな相談や悩みを抱えた人々がやってきます。死者からの伝言、呪いのワラ人形、祟られた家……一般の人にはおよそ信じてもらえない、怪異な現象の数々──。

 

 三木住職が実際に見聞きした不思議な出来事を、仏教説法を交えて語る「怪談説法」。「コワイけど、泣ける」「お説法に御利益がある」と評判になり、『怪談和尚の京都怪奇譚』として出版され、YouTube「三木大雲チャンネル」でも配信されています。この夏、『怪談和尚』としてコミック化もされました。

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「怖~い話」+「仏教説話」の怪奇譚とは、一体どんなものなのでしょうか? 話題のコミカライズ版から“最恐”の一篇をご紹介します。「いつか、あなたの身にも起きるかもしれない……」。

出所してきたばかりの男の相談事

 

 蓮久寺に母子連れが相談にやって来た。坊主頭の青年は「オレオレ詐欺で服役して、最近出所してきました」と住職に語り始めた。

 

「田舎で電話帳を入手し、電話をかけます。親が田舎に住んでいる若者は、親元を離れている可能性が高いからです」

 

「田舎の主婦からまんまと300万円をだまし取ることに成功しました」

 

「アパートに戻って祝杯を上げたのです……」

 

「その時ニュースで、300万円を強盗殺人した主婦が……」

 

「指名手配後、自分の首を切って自殺した……ん? ○○町?」

 

「私が電話したのと同じ町だったのです……」