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「薬を口と性器から入れた」

それでも裁判では、石原被告は無罪の主張を続けた。

「家についてテレビを見ていたら五十嵐さんの飲酒ペースが徐々にはやくなり、日が暮るころにはベッドの上で飛び跳ねていた。何かを口にしていたと思ったら、しばらくして持病のてんかんの発作を起こした」

石原被告 NNNニュースより

 さらに五十嵐さんが全裸だったことや陰部から覚せい剤が検出されていることについては、被告人質問で「持病があることを知っていたので五十嵐さんのバッグの中から薬を取り出し、口と性器から入れた」「飲み過ぎて性行為ができなかった」と繰り返し主張した。

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「性的興奮を増すドラッグの中には性器から注入するものも多く、石原被告の主張は無理があると言わざるをえません。まったく反省の色を見せない被告に検事は苛立ちを隠せず、何度も質問を重ねていました」(同記者)

判決はほぼ求刑通りの懲役9年

 密室での犯罪であり、覚せい剤が発見されず直接証拠に乏しかったうえ、五十嵐さんの遺体が発見される直前に石原被告と電話で薬物について会話したとされる知人男性が、公判では「(会話を)」覚えていないと証言したことなどから、裁判長の判断に注目が集まった。検察側は「(五十嵐さんに)覚せい剤を勧めたが断られたので、(石原被告が)日本酒に入れて摂取させた」「突然生命を奪われた被害者には何の落ち度もない」として懲役10年を求刑した。

閑静な住宅街の一角にある石原被告の豪邸 Ⓒ文藝春秋

 判決では、佐伯恒治裁判長は「覚せい剤という人の身体に重大な悪影響を及ぼす薬物を多量に摂取させるという犯行形態は極めて危険かつ悪質だ」とした上で「不合理な弁解に終始し、反省の態度が全く見られない」と断罪し、ほぼ求刑通りの懲役9年(求刑10年)を言い渡した。

「石原被告は逮捕当時の強面の感じから、少し痩せて諦観のような雰囲気を漂わせていましたが、支離滅裂な主張を聞いていると、裁判長が言うようにまったく反省していないように見えました」(社会部記者)

 事件発生から3年のあいだ無罪主張を続けた石原被告は拘置所の中で今、何を思うのだろうか。