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「食事は高い上においしくない」「バスは待たされる」…東京五輪取材中、ダバディ氏が率直に語った問題点

仕事をする上でプレスセンターの運営は素晴らしいが…

食事以上の問題は「移動手段」

「バブル方式」では、東京オリンピックを機に入国した海外関係者は、入国から14日間は行動をホテル、MPC、競技会場内に制限される。公共交通機関を使えず、ホテルからMPC、競技会場への移動は、専用のバスかハイヤー、TOKYO 2020専属タクシーに限られている。タクシー券は1枚1万円で、1人14枚まで購入できる。だが、ダバディ氏は「食事以上に問題なのが、この移動手段の問題」と訴える。

「現実に開会式近くに入国した海外プレスはすごく多いんですよ。ということは、大会期間中はほぼ動きを制限され、ホテルの近くにあるりんかい線(TWR)やゆりかもめなど、一切の公共交通機関が使えません。なので、専用のバスでMPCや競技会場に行くことになりますが、この本数が少なすぎて、場所によっては1時間に2、3本だったりします。競技会場からホテルに戻る時も行列ができていて、すごく待たされる。そして、ラッシュの際に乗ったバスの中は密になる。競技場内のプレスセンターで原稿を書き終えて早くホテルに戻りたくても、待たされるし、相当、体に応える。だから、イライラしていろんな不満ツイートが出てくるんですよ」

©️JMPA

「バスがなければタクシーを」という発想は「パンがなければケーキを…」と同じ

 そして、ダバディ氏は大会側の「バスがなければタクシーを」という姿勢にも強く異議を唱えた。

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「チケットが用意されるテレビ局や全国紙はともかく、フリーの記者たちは経費を少しでも節減するようになっているので、簡単にタクシーは使えません。海外も日本と同じで紙の売り上げが落ちているからです。武道館や国立競技場から台場までは、数千円かかりますよね。そんなのは、本当に急いでいる時の1回しか許されません。だから、『バスが足りないならタクシーに乗れ』というのは、とりわけフリーランスは極めて厳しいです。それは、フランス革命の前、ルイ16世の王妃であるマリー・アントワネットが言ったとされる『パンがなければケーキを食べればいいじゃない』という発想と同じです」