10月29日(金)に永野芽郁さん主演で映画公開が決まっている、瀬尾まいこさんの小説『そして、バトンは渡された』。「しみじみとした幸福感」「読み進めるほどに心が温まる」と評判の高い本作だが、現在「文春オンライン」でコミカライズ版も連載している。作画を手がけるのは『ひとりぼっちで恋をしてみた』(講談社)などを手がける漫画家・田川とまたさん。

 

 コミカライズ版では小説と異なる展開も。特に、主人公の優子を長年育てながらも突然家出してしまった継母の「梨花」のフットワークの軽さに注目だ。本日更新される第5話<前編>では、優子が4~5年ぶりに梨花との再会を果たす。

 原作者の瀬尾さんは「自分の書いたものが、漫画になるなんてとてもうれしく思います。可愛く素敵に描いてくださり、絵を眺めているだけで心が温かくなります。小説とは違ったエピソードが読めるのも、森宮さんや優子たちの違う部分が見られるようで、とても楽しみです」とコメントしている。

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血の繋がらない父親「森宮さん」と一緒に暮らす優子

 高校3年生の森宮優子は、これまでの人生で3回も名字が変わっている。生まれた時は「水戸」、その後「田中」「泉ヶ原」を経て、現在は「森宮」姓を名乗っている。

『そして、バトンは渡された』より ©文藝春秋

 彼女は家庭の事情で「バトン」のように様々な親の間を渡り歩き、今は血の繋がらない父親・森宮さんと2人で生活をしている。

『そして、バトンは渡された』より ©文藝春秋

母親のいない優子の前に現れたのは…

 小さい頃は血の繋がった父親と暮らしていた優子。幼いながらも「なぜ自分には母親がいないのか」を薄々感じていた優子は、ある日、父親から「お母さんは交通事故で死んでしまった」と聞かされる。

『そして、バトンは渡された』より ©文藝春秋

 小学2年生になり、優子の前に現れた「梨花さん」。突然やってきた朗らかで優しい年上の女性に、優子はすっかり懐く。

『そして、バトンは渡された』より ©文藝春秋

 その後まもなく、梨花は優子の父親と再婚。優子の母親になった梨花は「8歳だった頃の生活をもう一回体験できるなんて最高」と、優子を可愛がる。

『そして、バトンは渡された』より ©文藝春秋

 けれど、3人の暮らしは長くは続かなかった。