“ワクチン接種”で対立する親族
プランナーにせっつかれても挙式ができない最大の理由は、親族間の意見の不一致にある。
「夫の親族はコロナに対する警戒心がとても強くて『緊急事態宣言中に開催するなら欠席する』とか『ワクチンの接種率が100%になるまでやらないで!』とか言うので、義実家に帰る度に、熱い家族会議になります。一方で、私の両親は『副反応が怖い』って言って、まだ1回目のワクチンすら打ってなくて……。だから、義理の両親からも『◯◯さんのご両親も早くワクチン打ってね』というプレッシャーをかけられています」
両家の板挟みにあっている山口さん。“結婚の問題はふたりだけのものではなく、家同士の問題”という事実を身をもって感じているそうだ。
そのほかにも、延期の報告をするたびに友人関係にヒビが入るという悩みも。
「初めは『出席する』と言っていた友だちからも、3回目あたりから断られるようになりました。コロナ禍を理由に断られるのは仕方ないんですけど、どうしても『私はあの子の結婚式に行ったのに……』という気持ちが湧いてきちゃいますよね。多分、この感情は消えないので、これを機に疎遠になる友人もいると思います」
問題が山積みの山口家の結婚披露宴。現在はふたりとも“諦めの境地”にいるそうだが、過去には夫に怒りをぶつけてしまったことも。
「1度目の延期のときは、日本での新型コロナの陽性者数は10人前後だったので、強行もできました。でも、そのときも義両親から大反対されて、ギリギリまで悩んで式の4日前に延期を決めたんです。そんな経緯もあって『あのときやればよかった』とか『私はやりたいって言ったよね?』とか、私がネチネチ蒸し返してしまい、口論になった時期もありましたね」
新婚生活のスタートとしてはかなりのハードモードだ。しかしそれでも「キャンセルだけは絶対にできない」と、山口さんは話す。
「プランナーさんにキャンセルの相談をしたところ、私たちの場合は全額補償しなければならず、200万円を一括で払うように言われました。そもそもそんなお金もないし、何もしてないのに200万円も払うなんて、いろいろな意味でキツすぎます」
山口さんは「結婚式をやるも地獄、やらないも地獄です」と、終わらない修羅場にため息をつく。次は2月に開催を予定しているというが、5度目の正直となるか……。