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加計孝太郎 加計学園理事長
「万感胸に迫る思いですが、認可を得たうえで、学園の建学理念の下、世界に冠たる獣医学部を目指して、努力に努力を重ねていきたいと強く思っております」

日テレNEWS24 11月10日 

 11月14日、林芳正文部科学相は閣議後の記者会見で、学校法人加計学園による獣医学部新設を同日付で正式に認可したことを発表した。国家戦略特区に指定された愛媛県今治市に来年4月、開設される予定。獣医学部の新設は1966年の北里大以来、52年ぶりとなる。

加計孝太郎理事長 ©共同通信社

 認可を前に、これまで沈黙を守ってきた加計孝太郎理事長がコメントを発表した。加計氏はご存知、安倍晋三首相の「腹心の友」。獣医学部の新設について内閣府が文科省に「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」などと伝えた文書が発覚して以来、さまざまな疑惑が発生していたが、ついにこの日まで加計氏自らが証言を行うことはなかった。沈黙したまま、ようやくここまで漕ぎつけたのだから「万感胸に迫る思い」なのは当然だろう。

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 加計氏は「設置認可をいただいたこの日の喜びを地元今治市、愛媛県の方々をはじめ、関係するすべての皆様方と心から分かち合いたい」ともコメントしている(NHK NEWS WEB 11月14日)。「関係するすべての皆様」とは、もちろん安倍首相も含まれているはずだ。

 誘致を推進してきた愛媛県の加戸守行前知事はジャーナリストの櫻井よしこ氏とインターネット番組「言論テレビ 櫻LIVE」で対談し、「長い道のりで妨害、阻害に悩まされながらよくたどりついた」とコメントした(朝日新聞 11月10日)。認可が発表された14日には「ばかげた騒動で理不尽ないちゃもんだったが、雨降って地固まるとなればいい」と喜びの声を上げている(産経WEST 11月14日)。今治市の菅良二市長は「公平公正な審査が行われたことを感謝する」とコメントを出した(産経新聞 11月11日)。

前川喜平氏 ©文藝春秋

 一方、文科省前事務次官の前川喜平氏は14日夜、報道機関に書面で「総理のお友だちにだけ特権を与える行政行為であり、我が国の大学行政に大きな汚点を残しました」とコメントを出した。書面は次のように締めくくられる。「政権側は、国民による追及から逃げ続け、国民があきらめ、忘れてしまうのを待とうとしています。責任追及からの逃亡をこれ以上許すわけにはいきません。私たち国民は、決して忘れてはいけないのです」(産経ニュース 11月14日)。

 ある学園関係者は「学内ですら何の説明もしていない。世間を騒がせたのだから、何かしら話すべきだ」と言っているそうだが(朝日新聞デジタル 11月10日)、少なくとも96億円もの市税を投入した今治市民には何か説明したほうがいいと思う。それとも森友学園問題で世間を騒がせた安倍昭恵首相夫人と同様、このまま国民が忘れるまで公の場で説明は行わないつもりなのだろうか。それこそ「総理のお友だちにだけ与えられた特権」だ。

愛媛県今治市に建設が進む岡山理科大獣医学部の施設(11月10日撮影)

安倍晋三 首相
「あらゆる事態に備え、強固な日米同盟の下で具体的行動を取っていく」

YOMIURI ONLINE 11月17日

 安倍首相は17日午後、衆院本会議で所信表明演説を行い、核・ミサイル開発を進める北朝鮮問題について「我が国を取り巻く安全保障環境は戦後、最も厳しい」と述べ、国際的な圧力を一層強化する方針を言明するとともに、ミサイル防衛体制を含む防衛力の強化に取り組むことを表明した。

 日本は米国から戦闘機やミサイルなど大量の兵器を購入する予定だ。来日していたトランプ米大統領は「安倍総理大臣との友情は、われわれの偉大な国に多くの利益を生み出すだろう」とツイートした(NHK NEWS WEB 11月7日)。

コイに餌ををやるトランプ大統領と安倍首相©AFP=時事

 しかし、買ってばかりではいられない。これからは日本も武器を売っていく時代だ。政府官邸は財務省の岡本薫明主計局長を呼び、武器輸出に向けてODA(政府開発援助)のような新たな仕組みを作るよう指示した(テレ朝news 11月10日)。現行のODAでは経済開発援助が目的のため、武器輸出には使えない。関係者によると、この枠組で新規の武器の輸出も促進できると考えているという。

 中東・ドバイで12日から始まった「ドバイ航空ショー」では世界の軍事企業がこぞって最新鋭の武器をアピールしているが、日本も航空自衛隊の新型輸送機「C2」を展示。UAE(アラブ首長国連邦)への輸出の実現を目指している。3年前に安倍政権が条件付きで「武器輸出」を解禁して以来、潜水艦や最新鋭の哨戒機、救難飛行艇などの輸出を積極的に推し進めてきたが、これまでは不調に終わっていた。世界最大の武器輸出市場である中東への進出は、実績を求める政府官邸の意向を受けてのものだ(テレ朝news 11月12日)。武器を買って、武器を売る。これが日本の未来の姿である。