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《カズレーザー、最近読んだお気に入りの本》普通の人を看守と囚人に分けると、看守はサディストに…? 「スタンフォード監獄実験」の“ねつ造”を示す3つの根拠

『Humankind 希望の歴史 人類が善き未来をつくるための18章』より#2

source : 翻訳出版部

genre : 社会, 国際, 読書, 歴史, 教育

note

英BBCが再現実験を行った結果

 そんななか2002年5月に、英BBCが再現実験を行った。担当した実験者たちはジンバルドとは違い、「看守たちに指示をしなかった」。するとどうなったのか。じつのところほぼ何も起きなかったのだ。さらには一部の囚人と看守は生活共同体を作ることを投票によって決めた。実験は行き詰まり、打ち切られた。番組画面には、呑気に座ってタバコを吸う男たちの姿が写るばかり。残酷なリアリティ番組を期待していた視聴者は、騙されたように感じた。

 しかし、このBBCの再現実験はやがて忘れ去られる。そしてセンセーショナルなスタンフォード監獄実験だけが、検証されることもなく今に至るまでメディアに繰り返し取り上げられている。

 2018年のインタビューでジンバルドは、こう語ったという。

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「現時点で、スタンフォード監獄実験は心理学の歴史上、最も有名な実験だ。行われてから50年経っても議論される実験は、他には存在しない。一般の人でもあの実験のことは知っている。……あの実験はもう自らの命を持っているのだ。……わたしにはもうあの実験を守るつもりはない。この先、あの実験を守るのは、これほど長く生き延びたという事実だ」

Humankind 希望の歴史 上 人類が善き未来をつくるための18章

ルトガー・ブレグマン ,野中 香方子

文藝春秋

2021年7月27日 発売

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