コミック「鬼平」のこれまでの歩みを振り返る
「コミック 鬼平犯科帳」の最新刊は「さいとう・たかを追悼特別号」として、豪華版で刊行される。
巻頭にはカラー口絵にて「さいとう先生の仕事場」を撮影した追悼記事、巻末には「『コミック 鬼平犯科帳』全話解説」が収録されている。
113巻までの全327話を総ざらいする内容だけあって、鬼平ファン必携の永久保存版ともいえる。『コミック 鬼平犯科帳 114 さいとう・たかを追悼特別号』は、12月17日に発売。
収録されているストーリーの一部を紹介していこう。
押し込みの容疑をかけられた一味にいた不自然な男
江戸の町では、近頃計画性のない押し込みが続いていた。平蔵たち火盗改メは、大岩という男が率いるやくざ者とも呼べない一味に目をつける。
さっそく大岩一味を見張る同心たちだが、とある居酒屋で、彦一という男が一味の中で明らかに軽んじられ、浮いていることに気づく。
同心の細川は、彦一をどこかで見たことがあると言うのだが……。
彦一が平蔵たちに残した意味深な言葉の真意とは?
彦一に何か突破口があると見た火盗改メ。平蔵と密偵の五郎蔵が彼を見張りに出たところ、なんと彦一のほうから平蔵たちに話しかけてきた。
彦一は「もう決して一味から目を離さないでほしい」と言う。
自らがいる一味のことをわざわざ平蔵たちに告げるのには、何かただならぬ事情があり、自分が火盗改メに目立つようにわざと「軽んじられる」様を見せていたに違いない。
同心の細川は、以前女が川へ落ちた事件の遺体を引き取りにきた男が彦一だと思い出す。女は阿片を摂取していたようで、一時は事故として片づけられたのだが……。
続きは『コミック 鬼平犯科帳 114 さいとう・たかを追悼特別号』に収録。ほかにも「仕置ノ三百三十一」まで4篇が掲載されている。
114巻が刊行され、まだまだ続く「コミック 鬼平犯科帳」の世界。池波正太郎、さいとう・たかを亡きあとも、平蔵たちの活躍は変わらず紡がれていく。