会計検査院
「見積もりの算定根拠が不十分で、慎重な検討を欠いていた」
YOMIURI ONLINE 11月23日
約8億円の値引きに会計検査院から疑問符が突きつけられた。学校法人「森友学園」に大阪府豊中市の国有地が売却された問題について、会計検査院は22日、約8億円の値引きの根拠となったごみ撤去費について「十分な根拠が確認できない」とする報告書を国会に提出した。
地中に埋まっていたごみの撤去費用を差し引いた結果、売却額は鑑定評価額の7分の1になった。「法令に基づき、適正な手続きで処分した」という政府の説明は明確に否定された形となる。また、学園側との具体的な交渉内容が確認できる資料などが廃棄されていたことから、検査院は「会計経理の妥当性の検証が十分に行えない」とも指摘した(朝日新聞 11月23日)。
会計検査院は、いわば企業における監査役にあたり、その指摘は重い。茂木敏充経済再生・経済財政担当相は24日の閣議後会見で「国民の理解を得られるよう説明を続けたい」と述べた(ロイター 11月24日)。麻生太郎財務相も「財務省としては結果を重く受け止めなければならない」と述べている(日本経済新聞 11月24日)。
森友学園が開学を予定していた小学校の名誉校長に一時就任していた安倍晋三首相の昭恵夫人、森友学園の教育方針に深く賛同していた安倍首相と、森友学園前理事長の籠池泰典被告とのつながりが、国有地売買の交渉に大きな影響を与えていたのではないかという疑念はまだ解明されていない。
財務省の佐川宣寿前理財局長(現国税庁長官)は国会で繰り返し「交渉記録は残っていない」と答弁していたが、記録が残るパソコンのハードディスクの破壊は行われていないことを麻生財務相が認めている(東京新聞 9月23日)。また、「(価格を)提示したこともないし、先方からいくらで買いたいと希望があったこともない」という佐川氏の答弁そのものが虚偽だった疑いが出ている。
「適正に処理された」という政府の説明が否定された以上、約8億円の値引きに関して、どのような交渉が行われたのかが明らかにされなければならない。
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安倍晋三 首相
「今回の衆院選での討論会でも質問が多くあり、その都度、丁寧に説明させていただいたところであり、今後もその考え方に変わりはありません」
朝日新聞デジタル 11月20日
20日、衆院本会議での代表質問で、森友・加計問題への対応について質問した自民党の岸田文雄政調会長に対し、安倍首相はおなじみの答弁を行った。
読売新聞は23日の社説で会計検査院の報告に触れ、「政府には納得のいく説明が求められる」と強い調子で非難した。これから安倍首相に求められるのは自分本位の「丁寧な説明」ではなく、相手本位の「納得のいく説明」だ。
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安倍昭恵 首相夫人
「今年は学校のことで、いろいろございました」
時事ドットコムニュース 11月23日
三重県伊勢市で開かれた「第1回世界こどもサミット2017」に実行委員として出席した安倍昭恵氏は、学校教育について発言を求められた際、冒頭のように発言して会場の笑いを誘った。
会計検査院が検査結果を公表した直後での公の場での発言となったが、他人事どころか冗談にしてみせた。もはや自分はこの問題について問われることはないと安心しきっている様子だ。
かつては「安倍首相ガンバレ!」「中国、韓国が心改め、歴史教科書でウソを教えないようお願いいたします」と幼稚園児に言わせていた森友学園の教育方針に深く賛同し、感動の涙も流していた昭恵夫人。前理事長の籠池泰典被告と妻の諄子被告は4ヵ月勾留され続け、家族とも接見を禁止されたままだ。かつて諄子被告に「祈ります」とメールを送り続けた昭恵氏は何を思う。何も思ってない?