1月30日、欧米の政財界の有力者を巻き込み、世界に衝撃を与えた性的スキャンダル「エプスタイン事件」にまつわる資料、通称「エプスタイン・ファイル」の一部が新たに公開された。
資産家のジェフリー・エプスタイン元被告(2019年に逮捕・起訴され、同年66歳で死亡)が、未成年の少女達に金銭を払い、性行為の相手をさせていたとして、児童買春で起訴されたこの事件。一体何があったのか? 公開された資料で明らかになったこととは。在米ライターの堂本かおる氏が寄稿した。(全4回の3回目/続きを読む)
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ジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マクスウェルの手によって性的虐待を受けた元少女たちは、自らを「犠牲者」とは呼ばず、「サバイバー(生き残った者)」と呼び、今も声を上げ続けている。
そして、エプスタインに苦しめられ、または今も戦っている女性はサバイバーだけではない。顧客(もしくは取り巻き)の妻たち、真相を追求するジャーナリスト、政治家が存在する。
ビル・ゲイツに向けられている疑惑
■ビル・ゲイツ/メリンダ・フレンチ・ゲイツ
マイクロソフト創業者で、世界長者番付常連のビル・ゲイツは以前よりエプスタインとの交流が問われてきた者たちの中で最も著名な人物の一人だ。今回のエプスタイン・ファイルから新たなメールが掘り起こされ、窮地に立たされている。
エプスタインは自分宛にメールを書き、送信せずに保存する習慣があったとされる。そうしたメールの中に、「ビル・ゲイツがロシア人女性と性交渉を持ち、性病に感染したことから薬の入手をエプスタインに頼んだ」「妻メリンダにも、こっそりと飲ませられる抗生物質を欲しがっている」とする旨のものが発見された。
ビル・ゲイツはこうした内容は全て虚偽であり、自分はエプスタイン島を訪れたこともないと主張している。エプスタインとの交流を始めた理由は、エプスタインが「多くの富豪を知っており、世界の保健医療に寄付をさせられる」と言ったからだと釈明。ただし、エプスタインと交流を持った自分は「愚かだった」「後悔している」と発言している。
「結婚生活における、とても、とても、辛い時期」
ファイルの公開と共にこの件は大きく報じられ、公開からわずか5日後の2月4日、ビル・ゲイツの元妻であるメリンダ・フレンチ・ゲイツは公共放送NPRのポッドキャストに出演し、女性キャスターに向かって心情を語らねばならなかった。
番組冒頭、メリンダは数秒の沈黙の後、「どんな少女もあんな状況に置かれるべきではない」「エプスタインと他の者たちが行ったことは非常に心が痛む」と語っている。その上で、エプスタインにまつわる一連の報道は「私の結婚生活における、とても、とても、辛い時期(離婚の前後)を思い起こさせる」としている。

