資産家のジェフリー・エプスタイン元被告(2019年死亡)が、未成年の少女達に金銭を払い、性行為の相手をさせていたとしてセックス・トラフィッキング(=性的人身売買)で起訴された事件。エプスタインは世界的な著名人たちにも少女を“斡旋”していたのではないかとされ、2026年1月30日に捜査資料、通称「エプスタイン・ファイル」の一部が新たに公開されると、波紋は世界中に広がっている。
今のアメリカの状況は。謎に包まれたエプスタインの生涯とは? 在米ライターの堂本かおる氏が寄稿した。(全2回の1回目/続きを読む)
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2月28日、アメリカとイスラエルが共同でイランへの攻撃を開始した。2時間後、米国戦争省はこの攻撃を「OPERATION EPIC FURY」(壮大な怒りの作戦)と称するポストをした。多くのアメリカ人が、いや、今回も「ジェフリー・エプスタイン作戦」、もしくは「エプスタイン・ファイル作戦」だろうと、皮肉とともに茶化した。
同じことは今年1月3日に米軍がベネズエラに侵攻し、時の大統領ニコラス・マドゥロを拘束した際にも起こった。あの時の作戦名は「Operation Absolute Resolve」(絶対的な解決作戦)だった。
トランプ大統領が論争的な発言や政策を行うたびに、「エプスタイン・ファイルから世論の目をそらすために、わざとやっている」とする声が上がるのだ。
「トランプと元少女の記録が消えている」
特に今回は、公開されているエプスタイン・ファイルから「当時13~15歳だったとする女性が、エプスタインとトランプの両方から性的暴行を受けたと訴えた記録が消えている」とする報道(※)が2月24日になされたばかりだった。
※「当時13~15歳だったとされる女性が、トランプ氏から性的虐待を受けたと2019年に訴えたことに関連する資料の一部を公表されていない」旨を米公共ラジオ(NPR)が発見。FBIは告発者と4度の面談を行い、要約とメモを作成した。だが、米司法省によって開示されたデータベース「エプスタイン・ライブラリー」には、主にエプスタイン元被告に対する女性の告発に焦点を当てた要約1点しか掲載されておらず、NPRが調べたところ、残りの要約3点と付随のメモ(計50ページ以上)が公開されていなかったという。米誌ニューヨークタイムズとケーブルテレビ局MS NOWも同様の調査結果を報じている。

