ヒラリーにも“証言”が求められた
2025年8月、共和党と民主党の両党で構成される下院監視委員会は、エプスタインに関する証言を求める召喚状をエプスタインへの捜査が開始された2005年以降の4政権(ブッシュ息子、オバマ、トランプ第1期、バイデン)の司法長官とFBI長官に送付した。歴代大統領の中ではビル・クリントンのみが召喚され、妻のヒラリー・クリントンも召喚されている。夫婦揃ってエプスタイン、マクスウェルと親しかったトランプと妻のメラニアは召喚されていない。
ヒラリー・クリントンの名はエプスタイン・ファイルにほとんど登場しない。ビル・クリントンが何度も搭乗したエプスタイン専用機の飛行記録にもその名は見当たらない。ほぼ唯一のつながりは、夫の大統領任期終了に伴ってヒラリー自身が上院議員選に出馬した際、民主党支持者であるエプスタインから政治献金2万ドルを受け取っていることのみだ。
召喚状を受け取った当初、クリントン夫妻は「共和党による自分たちへの政治的な報復である」として証言を拒んだ。すると監視委員会の共和党委員長は「2人を議会侮辱罪で起訴する」とした。夫妻は証言を密室ではなく、カメラの目の前で行うことを要求。それに対する委員長の口さがない対応に対し、ヒラリー・クリントンは2月5日、Xに以下のポストを行なった。
「では、ゲームは終わりにしましょう。この戦いを望むなら、@RepJamesComer(注:監視委員会の共和党委員長ジェームズ・コマー)、公開の場でやりましょう。あなたは透明性について語るのが大好きだ。カメラを回した公開の公聴会ほど透明なものはありません。私たちはそこに出向きます」
夫ビル・クリントンの思慮も倫理観もない過去の行動の代償を、妻ヒラリーが受けて立つこととなったのだ。
ヒラリーは過去にも夫の浮気に悩まされた経緯がある。
ビル・クリントンは大統領就任中に、国中を揺るがすセックス・スキャンダルを起こしている。1995年、当時22歳だったホワイトハウス・インターンのモニカ・ルインスキーと不倫を重ね、弾劾裁判まで起こされたのだ。
ヒラリーは、夫が自分よりはるかに若い女性との不倫をホワイトハウスで1年半も続けたことを知らされ、ファーストレディとしての面目を失った。さらに、当時開かれた公聴会や裁判では夫とインターンの生々しい性描写を聞かされることにもなった。
それを乗り越え、ヒラリー・クリントンはファーストレディとしての責務が終了次第、上院議員となり、後に2008年大統領選に出馬した。当初はヒラリーが女性初の大統領となると言われたものの、バラク・オバマの登場により民主党の予備選で敗退。だが、オバマ大統領に請われて国務長官の座に着いた。ヒラリーは2016年大統領選に再度挑み、今度こそ女性初の大統領の誕生といわれたが、ドナルド・トランプが大統領となった。そのトランプと政権が今、夫ビル・クリントンのみならず、ヒラリーをも召喚したのだ。(文中敬称略。つづく)
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