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ついに幕が上がり、ステージへ

 オフィシャルには振りはいただけなかったのですが、当時はまだミュージカルダンサーとしてのスキルが残っていた時期。歌中は歌振りだけで、間奏部分はきちんと。ここでシェネ(回転しながら横方向に進む)してターンしてジャンプしてみたいに。必死でした。

 イベント当日。私は舞台袖で(生卵をぶつけられたらどうしよう……)と震えながら出番を待っていました。幕が上がり、ステージに『幽☆遊☆白書』のオープニング映像が流れ始めました。スクリーンにキャラクターが登場するたびにお客さんの歓声が聞こえてきます。そして蔵馬が映し出されると、悲鳴ともつかない、ひときわ大きな歓声が上がりました。

 あれ? これは……?

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画像はイメージです。©iStock.com

 名前を呼ばれ、恐る恐るステージに上がった瞬間、「キャーーーッ!!」という熱狂的な悲鳴の渦! びっくりして頭の中は真っ白。そのあと、イベントで何をお話ししたかはあまり覚えていません。でも、どうやら皆さんが私を受け入れてくださっているらしい、という感激と、とりあえず生卵はぶつけられずに済んだという安堵感でいっぱいでした(笑)。

 後日、応援の言葉が書かれているたくさんのファンレターにまじって、「発表までは女性が蔵馬を演るなんてと思っていましたが、実際アニメを観て好きになりました」「イベントで歌って踊る緒方さんを見てファンになりました」と書いてくださる方が多くて再び感激! 剃刀入りのお手紙は一通も届かなくてさらに安堵!(笑) 私にとってステージは“初めてお客さんに受け入れてもらえた場所”になりました。

新幹線で起こったハプニング

『幽白』初イベントは、3都市開催の全国ツアーでした。大阪の万国博ホール、名古屋ダイアモンドホール、そして東京の九段会館。『幽☆遊☆白書』人気を表すかのように、どこも熱狂的なお客様に迎えられ、とても幸せな時間を過ごさせていただいたのですが、反面、抽選に漏れてしまったお客様が多数いらして、「ひと目逢いたい」と思ってくださるが故のハプニングも、初めて経験しました。

 まずは大阪での帰りの新幹線。たまたまなのですが、なんと、当時デビューしたばかりのTOKIOと隣同士の車両になってしまったんです。どちらのファンも、当人たちがいる車両には立ち入りが禁止されたため、仕方なく隣の車両に行く。