病院に行く以外は軟禁状態に近く、孤立した生活
阿部代表は今年5月の連休以降、加害者家族支援の立場から、父親を訪問しづらい長男に代わり、何度か飯塚被告の自宅を訪ねた。
「基本的に車椅子で、一度立ち上がると脚が弱っているので座るのにかなり時間がかかる。足を前に出すのにもふらついたりします。持病が何かあるというより、加齢のためです。同乗していた奥さんもICUに入る大変な怪我を負いましたが、今は歩けるようになり、夫の介護をしています」
面会のたび、飯塚被告からは「被害者やご遺族には申し訳ない」という言葉を聞くという。
「外出は定期的に病院に行く時ぐらいで、それ以外は一歩も出ず、軟禁状態に近い。事故後は交友関係がなくなり、孤立した生活を送っています」(阿部代表)
傍聴席から「寝てんじゃねえよ!」と罵声
公判での受け答えはしっかりしているものの、体力の衰えが著しく進行しているという飯塚被告。7月中旬に被害者遺族の意見陳述が行われた際には、後ろから見ると眠りこけているように姿勢が崩れ、傍聴席から「寝てんじゃねえよ!」と罵声が飛ぶ場面もあった。
「それまでの審理は休憩を挟んで、前後1時間半ずつでしたが、この時は3時間半近く続きました。本当に寝てはいないんですが、集中力が長時間続かなくなっており、精神的にも身体的にも厳しい状況に来ているようです。家族はみんな、『控訴してほしくない』と思っています」(阿部代表)
脅迫などで社会的制裁を受けたことは情状酌量の理由にもされた。
事故で妻子を失った松永拓也さん(35)は判決後の週末、墓前に報告に行ったという。松永さんが語る。
「本当に反省しているかどうかは被告にしかわからないことです。これだけ科学的な証拠も積みあがっているのですから、自身の罪と向き合ってもらいたい。社会的制裁が減刑の理由になるのは望まない形です。遺族としては、ただただ、しっかり罪を償ってほしい」