2017年、神奈川県の東名高速で、萩山友香さん(当時39)運転のワゴン車の前に繰り返し割り込み、友香さんと夫の嘉久さん(同45)を死亡させ、娘2人にけがを負わせた事件。3月30日の差し戻し裁判で検察側は、石橋和歩被告(30)に懲役18年を求刑した。
一審ですでに懲役18年の有罪判決を言い渡されていたが、地裁が弁護側の尋問の一部を誤って制限したことを東京高裁は“違法”とし、今月16日には追加尋問を行っていた。本日の裁判で検察側は石橋被告の犯行について「妨害運転を繰り返したのは明らかで、極めて危険で悪質」と述べている。
なぜ家族の幸せは、一瞬にして奪われてしまったのか。石橋被告の素性、事故当時の様子、遺族の怒りの声を報じた「週刊文春」の記事を公開する。(初出:「週刊文春」 2018年12月20日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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弁護側は無罪を主張
有罪か、無罪か――。「あおり運転」によって夫婦を死亡させた石橋和歩被告(26)の公判が2018年12月3日から始まり、検察側と弁護側の熾烈な法廷バトルが展開されている。
石橋は2017年6月5日、神奈川県の東名高速で萩山友香さん(当時39)運転のワゴン車の前に繰り返し割り込んで停車させ、大型トラックが追突する事故を誘発。友香さんと夫の嘉久さん(同45)を死亡させ、娘2人にけがを負わせた。
「初公判に臨んだ石橋は短髪に眼鏡をかけ、上下黒のジャージ姿。認否の場面では被害者の夫につかみかかった際の細部にやたらとこだわり、『胸ぐらではなく、左腕……』などとつぶやくように述べていた。弁護側は『車が停止後の事故に、危険運転致死傷罪は適用できない』と無罪を主張しました」(司法記者)
だが、検察側は「危険運転」を立証するため、状況証拠を詳細に集めて突きつけた。