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 その後も『星のカービィ』シリーズの展開は続き、制作陣が入れ替わりつつも着実な人気を得ている。

 桜井氏はスーパーファミコンの『星のカービィ スーパーデラックス』までディレクターを担当(後に番外編の『カービィのエアライド』を制作)、ハル研究所の下村真一氏がナンバリング作品を展開し、『星のカービィ 鏡の大迷宮』などではほかのゲーム開発会社と共同で制作していた時期もあった。

『星のカービィ Wii』以降はハル研究所の熊崎信也氏がディレクター、もしくは総合ディレクターを担当しており、いまに繋がる新たなカービィの時代が築かれている。現在は敵キャラクターのバックボーンを細かく設定するなどストーリー面での充実が図られている点が特徴だが、多くの人が遊びやすいゲームであることは変わらない。

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「だれにでもクリアできるゲーム」としての完璧なバランス

 そして、初心者向けのゲームでクオリティの高い作品というのは実はけっこう稀である。たとえばいまいち出来がよくない作品に対して「これは子供向けだろう」と評価されるケースがしばしばあるし、そもそも低年齢層向けに開発されたゲームはそれなりの内容に留まってしまうことも多い。

画像は任天堂公式サイトより

 逆に、こだわられている作品はコアなゲーマー向けになりやすく、遊びやすくこだわられているゲームというのはやはり珍しくなってくる。もちろん今では『星のカービィ』シリーズ以外にも手軽に遊べるゲームは増えたが、それでも重要なタイトルだといえるだろう。

「女性用の下着」にすらなるカービィ

  しかし、昨今のカービィを語るには「ゲーム」以外にも目を向ける必要がある。というのも『星のカービィ』はグッズ展開なども積極的に行っており、たとえば25周年の際にはピーチ・ジョンの妹ブランド「YUMMY MART」とコラボして女性用の下着になっていたりするのだ。多様な変身能力を持っているカービィとはいえ、下着になるとは誰も想像できなかっただろう。

画像はYUMMY MART公式サイトより

 実はカービィはキャラクターとしても支持を得ており、多くの人が愛するピンクのかわいいヤツになっているのだ。筆者がカービィのリュックを背負って買い物をしていると、たまたま寄った店で店員の方に「カービィ、お好きなんですか?」と声をかけられることがある。こういう経験が一度や二度ではなく、何度もあるくらいに街中で“カービィ好き”と出会うのだ。

 保育園へ子供を迎えに行ったとき、筆者が身につけていたカービィのキーホルダーをよその子供たちが見つけ、取り囲まれてしまったこともあった。皆カービィは知っているようで、なかには好きなコピー能力(カービィは敵から能力をコピーできる)について熱く語ってくれる子もいたほどだ。