いつの時代も、外国人選手はプロ野球を盛り上げてくれる。
日本をリスペクトし、野球に真剣に取り組み、チームメイトからもファンからも愛される。そんな選手もいれば、舐めた態度でやってきていつだって悪目立ち。外国人選手もさまざまだ。
楽天イーグルスは現存する12球団の中で一番歴史が浅い。それなのに、この短い歴史の中で印象に残る外国人選手を大勢輩出している印象だ。
初代4番はルイス・ロペス。目立った成績は残せなかったが、ドリフの大爆笑を捩ったあの応援歌は忘れられない。トッド・リンデンはお騒がせ助っ人の一人か。マリンで相手選手にいちゃもんをつけ、乱闘寸前の騒ぎになった記憶が強い。内角捌きが結構巧かっただけに、素行不良が残念だった。
優勝した年のAJ、マギーのデュオは素晴らしかった。AJが打席に立つと必ず「アンドリュー」とスタンドで叫んでいたおじさんは元気だろうか。(3塁側リポーター席のすぐ近くに座っていたとみられ、私がベンチリポーターに入っている時はよく声が聞こえてきた)
ウィーラー、ペゲーロ、アマダーのアンサンブルも見事だった。ファンから愛された男・ウィーラーは喜怒哀楽が激しかった。以前デッドボールに激昂した姿を見ていたので、初めてヒーローインタビューを担当した時は内心ビクビクしていたが、マイクを向けると照れ臭そうに話していて、なんとも可愛らしかった。この3人は本当に仲が良かったんだろう。福岡でアマダーが東浜の内角直球に激昂し、相手投手を威嚇するような行動を取ると、真っ先に止めに入ったのがウィーラーとペゲーロだった。彼らからしたら異国の地、見知らぬ土地で力を発揮しなければならない。同じ境遇の者同士、支え合う姿は素晴らしい。
去年足りなかったもの…それは、“外国人野手”の活躍
田中将大投手の復帰でより先発陣に厚みが増した昨シーズン。投手力は間違いなく12球団ナンバーワンだった。打てさえすれば優勝できる。そう思っていた。
しかし蓋を開ければ3位。パリーグの他の球団と比べて苦しんだのは、外国人野手だった。
ルスネイ・カスティーヨはデビュー戦で故障。ブランドン・ディクソンは打率1割台。コロナ禍で外国人選手にとって非常に難しい環境の中、本来の力を発揮できずに終わってしまった。 3番浅村、4番島内、この2人の出塁率が高いだけに、ランナーを一掃してくれるような存在がいれば、さらに打線に厚みが増す。
そこで期待したいのが、今年加入したホセ・マルモレホスだ。
ドミニカ出身の29歳。シアトルで2年間プレーし、メジャー通算10HR。外国人選手特有のリーチの長さで、外角を逆方向に運ぶ力をもっている。
そして魅力はなんといっても愛嬌抜群のキャラクターだ。ヒットを放った際、笑みとともに塁上で見せる「マルポーズ」。キャンプ中には「マル・マル・モリ・モリ!」と報道陣の前で歌い周囲を沸かせていた。これはウィーラー以来の、人気と実力を兼ね備えた最強助っ人になるかも知れない。
ここまで27試合に出場し、打率.255、3HR(5月7日現在)。9連勝中のGWに入ってからはヒットを連発。打率も2割5分を超えてきた。チャンスに強い一面も見せてくれている。