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一番過酷な現場にいる人が見た世界

 連載時からお世話になっていた、りんくう総合医療センター産婦人科の荻田和秀先生に相談したところ、協力したいと言ってくださって、それなら描けるかな…と思い着手し始めました。

 現場を取材させてもらえたのは第5波の終わりごろだったのですが、感染対策のゾーン分けも厳しく、病院の内部をあっちこっち見て回るのは難しかったんですね。なので、助産師さん、産婦人科の先生、感染症内科の先生など、多くの方々から、コロナ禍を始まりから振り返っていただくようにして、じっくりお話を伺いました。

 例えば、病院を一歩出た時に、世界の空気がまるっきり違うように感じた…とか、一番過酷な現場の真っただ中にいる人にしか感じられない気持ちを、たくさん伺うことができました。

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©鈴ノ木ユウ/講談社

コロナ禍が去った後、我々が目指すこと

 コロナ禍って、今まで当たり前だったことが、急に当たり前ではなくなってしまった、という出来事だと感じています。ただそういう環境になったときには、色々なことをしっかり自分で考えて、判断せざるを得なくなります。出産についても、自分はどうしたいのか、どうするのが一番いいのか、妊婦さんが考える時間は増えたでしょうし、妊婦さんやその家族と、医療従事者が互いを思いやる時間も、増えたんじゃないでしょうか。

©鈴ノ木ユウ/講談社

 コロナ禍が終わったあと、コロナ以前よりも、妊娠・出産を取り巻く環境が良くなっていたらいいなと思いますし、コロナに苦しんだ我々は、何事においても、それを目指さなきゃいけないんじゃないかなと思います。

『コウノドリ 新型コロナウイルス編』が、そうした変化のきっかけに少しでもなったら嬉しいです。

コウノドリ(1) (モーニングコミックス)

鈴ノ木ユウ

講談社

2013年6月21日 発売

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