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「ゆっくり、焦らず」阪神“背番号29の後輩”髙橋遥人に伝えたいこと

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/05/21

 タイガースファンのみなさん、ご無沙汰しております! 開幕戦以来、文春野球2度目の登板になる井川慶です。10年以上前になりますが、阪神タイガースで投手をやっていました。

 2022年も開幕から2カ月近くが経ちます。ここまでのタイガースの戦いぶりですが、多くの人が言っているように「開幕戦」がすべてだったと思います。あそこで「勝ちゲーム」を落としてから歯車が一気に噛み合わなくなってしまった。

 ただ、ここにきて投手陣も安定してきましたし、7~9回までを任せられるリリーフも固まった。打線は打てる日、打てない日があるのは仕方がないですけど、戦力だけを見れば今の順位にいるチームではないので、ここからの巻き返しに期待したいですね。

誰もが“エース”を夢見る プロでもトップレベルのストレート

 そんな中、チームにとってもファンにとっても大きな衝撃だったのが髙橋遥人投手のトミー・ジョン手術ではないでしょうか。

髙橋遥人

 昨年も9月に一軍に上がってからは凄まじいボールを投げていましたし、今季は誰もがローテの中心を担うはずだと信じていたと思います。

 髙橋投手と僕は同じ左投手で、背番号も同じ29。プロ入り以降も何かと比べられることが多かったんですね。彼がそれをどう思っていたかはわかりませんけど……(笑)。

 ただ、実は投手としてのタイプはけっこう違うと思うんです。僕は角度を作って、ストレートとチェンジアップ、スライダーのコンビネーションで勝負するタイプ。

 髙橋投手は威力のあるストレート、カットボールを軸にカーブも織り交ぜながら球威でねじ伏せるタイプ。

 どちらが良い、というワケではもちろんないけど、少なくとも髙橋投手が投げるストレートは“エグい”です。特に、低めでもグワッと伸びてくるあの球筋……コンディションが良いときであればプロでもトップレベルなのは間違いない。僕には、彼のようなストレートは投げられません。

 だからこそ、1年間ローテで回ったら間違いなく「エース」になれるはずだし、周囲の期待値も高いんだと思います。

 髙橋投手とは2019年のオフにスポーツ紙の企画で対談をしたんですけど、思ったよりも背が高くて、体も大きかった印象が強いですね。対談中はもちろん、それ以外の時間もたくさん質問してきてくれましたし、「研究熱心」「自分の世界をしっかりと持っている」と感じました。プロとしても「考える力」はとても重要なので、その部分でもこれから伸びていくんだろうなと思ったことをおぼえています。

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