「あきらめたら、そこで試合終了ですよ」
こすられ過ぎてここに書くのも気恥ずかしいが、湘北・安西光義先生の名言を前向きにとらえられる程度までは精神が落ち着いてきた。
開幕9連敗、17試合消化時点での1勝15敗1分(勝率.063)……。早々にリーグ&プロ野球史に残るワースト記録を樹立した阪神タイガースが、4月の終わりとともに復調の兆しを見せている。4月24日のヤクルト戦からは6連勝もマーク。5月3日終了時点で、勝敗は10勝21敗1分、勝率.323まで持ち直した。
悪夢の1カ月を終え、30年来のファンである私を含めた古参の虎党はこう言う。
「90~00年代前半の暗黒時代と比べれば、まだマシだ」
ただ、そうやって自らを、チームを甘やかすのはもうやめよう。「昔の不幸自慢」ほど生産性のない話はないし、なによりダサい。
応援するからには、やはり「あきらめたら~」の精神でチームの勝利、優勝を信じるべきだ。
世紀の大コケスタートから、奇跡の逆転優勝へ――。
その可能性を、「やればできる!」ではなく、もうちょっと冷静に考察してみたいと思う。
残りを2勝1敗ペースなら、優勝ラインに到達する
まずは、リアルに「優勝」するためには今後、どの程度のペースで勝ち進めばいいのか。
以下は過去10年間のセ・リーグ優勝チームの成績になる。
2012年 巨人 86勝43敗15分 勝率.667
2013年 巨人 84勝53敗7分 勝率.613
2014年 巨人 82勝61敗1分 勝率.573
2015年 ヤクルト 76勝65敗2分 勝率.539
2016年 広島 89勝52敗2分 勝率.631
2017年 広島 88勝51敗4分 勝率.633
2018年 広島 82勝59敗2分 勝率.582
2019年 巨人 77勝64敗2分 勝率.546
2020年 巨人 67勝45敗8分 勝率.598
2021年 ヤクルト 73勝52敗18分 勝率.584
優勝チームの平均勝率は.596。143試合に換算すると85勝58敗~86勝57敗だ。
この数字を優勝の目安と考えた時、阪神は残り試合、どの程度のペースで勝ち進めばいいのか。
結論から言うと、残り111試合を75勝36敗で終えることができれば、最終成績は85勝57敗1分、勝率.599で過去10年間の優勝チームの平均勝率を上回ることができる。
75勝36敗は、勝率.677。ざっくり言うと「2勝1敗ペース」と考えればいい。
どうだろうか。「2勝1敗」であれば、決して不可能な数字ではない。
2012年の巨人は年間通して「2勝1敗ペース」を貫き通したし、開幕から独走した昨年の阪神も、6月19日までは「2勝1敗ペース」を維持している。
もちろん、ハードルは決して低くない。100試合以上をこのペースで勝ち続けるのは至難の業だ。ただ、今の阪神には間違いなく、これを成し遂げるだけのプラス要素が存在する。