2017年、世間を騒がせたニュースの渦中にはいつも「おじさん」がいました。まさに“オモテに出てはいけない”二階俊博議員から、籠池ファミリー、立憲民主党の枝野代表、船越英一郎に出川哲朗、貴乃花親方、海外ではトランプ大統領やケヴィン・スペイシー……。今年ニュースになったおじさんを一気に振り返ります。「年末座談会 2017年おじさん大賞」の始まりです!(続く後編も公開中です)
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――本日は、「2017年 第1回おじさん大賞」の選考会へお越しいただき、まことにありがとうございます。文春オンラインの連載陣の皆さん、本当におじさんに詳しいんですよね(笑)。よく原稿でも書いてイジっていただいて。
鹿島 新聞の政治面にはイジりたくなるおじさんがたくさん出てきますからね。「第1回おじさん大賞」の選考会なんて、めちゃくちゃ重要じゃないですか! 「おじさん有識者会議」ですね。
鈴木 私は『おじさんメモリアル』(扶桑社)を出版してから、「おじさんの悪口言ってください」っていう仕事の依頼がたくさん来てます。
おぐら イジるにしても悪口にしても、おじさんっていろんな属性の中で唯一と言っていいほど、誰もが認める「叩いてもいい存在」になってますよね。それだけ権力の側にいて、量的にも質的にも叩かれることをしているからなんですけど。
鹿島 これ、最初に聞いておきたいんですけど、「おじさん」っていうのは好意的な言い方なんですか? 僕、最近よく分からないんですよ。「オレ、オヤジくさいかなあ」「オヤジとおじさんの違い、ご存知ですか?」っていうニベアメンのCMがあって。どっちもダメじゃねえかと思うんですけど。オヤジとおじさん。
鈴木 私は悪意を込めて「おじさん」って呼んでます(笑)。だって、自分もおばさんって言われたら嫌じゃないですか。敬意を持って呼ぶなら……おじさま? 奥田瑛二とかになると「おじさま」ですね。
――実は、文春オンラインで筆者のイラストを描いている大嶋奈都子さんは「おじさんスタンプ」の第一人者なんです。大嶋さんのご専門は「シロウトおじさん」なんですよね?
大嶋 はい。ライフワークとしてずっとおじさんのスタンプを作っています。よく街中で背中の丸まり具合とか造形が気になって、一般のおじさんを観察して絵を描くと、“描きごたえ”があって筆が乗るといいますか。
おじさんは偏向していて当たり前
おぐら 生態の観察といえば、今年『ざんねんないきもの事典』(高橋書店)がベストセラーになりましたが、おじさんも「ざんねんないきもの」枠なんですよ。ただ、47歳の鹿島さんも、37歳の僕も立派なおじさんじゃないですか。そこは忘れちゃいけないと思って、今日はここにいます。
鹿島 言い訳できないです(苦笑)。僕は週刊誌やスポーツ新聞をまるっと「オヤジジャーナル」と名付けてすごく気が楽になったんですよ。おじさんが発信しておじさんが受信するメディアという意味で。というのは、変な話、小学生の頃からスポーツ新聞とか週刊誌が好きなんです。
鈴木 えー! そうなんですね。
鹿島 ええ。だから、やっと自分の年齢が追い付いてきたなと思っています。一般紙にも同じように「オヤジジャーナル」的要素がある。僕は6紙あったら6人のおじさんが毎日自分の正義をぶつけ合っていると思ってるんです。
おぐら 新聞の社説や週刊誌のコラムには、オヤジの小言が満載ですよね。「あれはいかがなものか」って、理解できないことがあると自分のせいではなく、世の中のせいにしがち。
鹿島 だから、偏向していて当たり前なんです。僕は、6人のおじさんが毎日社説とかで自分の正義を発信しているのを見るのがたまらないんですよね。きょうは自分がおじさんであることも頭の片隅に置きながら、あくまでも「観察者」の視点からしゃべりたいと思います。