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 例えば、無視して別の話を始めるとか「また今度ね」とか「大きくなったら分かるわよ」とか「そのうち説明するね」という言い方です。

 その時その時、相手を見ながら、相手の理解できる範囲で伝えます。

 そこから先は、息子さんの状態次第だと思います。月1回の面会を希望し続けるのか。父親とどんな会話をするのか。

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写真はイメージです ©iStock.com

鴻上尚史がゆかりさんの相談の文章を読んで感動した点

 思春期になった時に、ゆかりさんとどんな関係になっているのかも重要です。より繊細な状態なら、まだ「不倫」であるという説明はしないと思います。「ママとパパは恋をした。その結果、あなたが生まれた。でも、恋は終わり、お互いを傷つけないように別々に生活を始めた。そして、パパは別な人を選んだ」という説明です。

 やがて息子さんが大人になり、どんな会話ができるかは、楽しみにとっておいた方がいいと思います。

 じつは、ゆかりさんの相談の文章を読んで感動した点がもうひとつあります。それは、男に対する悪口が一言もないことです。「6年交際していて4年は知らず、知ってからは彼からの必ず離婚するという言葉を信じていました」というのは、男を責めて当然のことです。それをゆかりさんは「愚かだと思います」という言葉で表現しているのです。

 親しい友達には、どんなに男の悪態をついても、子供には絶対に言ってはいけない、と分かっていらっしゃるんじゃないでしょうか。だから、この相談でも悪口を避けたのではないかと僕は思いました。違いますか?

 悔しいですが、つらいですが、どんなに男に腹が立っても、子供に父親の悪口は言ってはいけないと僕は思っています。子供にとっては、母親を裏切ろうが嘘をつこうが父親なのです。父親の悪口を言うことは、そのまま子供を傷つけてしまうことになるのです。

 それは、結果的に母親との関係も悪化させてしまうことになると僕は思っています。

「子供が世間からの誹りを受けたり、悩んだり苦しむことを考えると大変申し訳なく」とゆかりさんは書きます。

 息子さんがどんな人と出会い、何を言われるかは分かりません。でも、日本でもシングル・ペアレントが珍らしくなくなってきました。軽率なことは言えませんが、だんだんと理解は広まっていくんじゃないかと期待します。

「あなたのことが大好きで、幸せになりたいから、ママはあなたと2人で住むことを選んだの」という思いをちゃんと伝えれば、子供はきっと理解してくれるんじゃないでしょうか。

 世間で子供が何かを言われたとしても、「自分は母親に愛されている」という確信と「2人で住むことがベストチョイスなんだ」という母親の判断に対する信頼があれば、子供は大丈夫だと僕は思います。

 大変でしょうが、どうか負けないで。

 ゆかりさんの1日1日を応援します。