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6年の不倫を経て未婚の母に…“父親との関係”を息子に説明すべきか悩む34歳女性に鴻上尚史がアドバイスした「大人の事情」の伝え方

『鴻上尚史のますますほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』より

2022/05/29
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 ニュースサイト「AERA dot.(アエラドット)」で掲載している鴻上尚史氏の人気連載を書籍化した『鴻上尚史のほがらか人生相談』シリーズ。読者の悩みに対して真摯に向き合い、優しく語りかけるような鴻上氏の回答の数々は、毎回大きな反響を呼んでいる。

 ここでは、シリーズ第3作目となる『鴻上尚史のますますほがらか人生相談 息苦しい「世間」を楽に生きる処方箋』(朝日新聞出版)から一部を抜粋。不倫の末に未婚の母となった34歳女性の相談に、鴻上氏はどう答えるのか——。(全2回の1回目/2回目に続く

鴻上尚史 ©文藝春秋

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不倫のすえ出産した息子に、父親の存在についてどのように説明すれば? 34歳女性・ゆかりさん(仮名)の悩み

 初めまして。私は30代半ばの未婚女性です。私は4年前に未婚で男児を出産しました。子供の父親とはいわゆる不倫の関係でした。6年交際していて4年は知らず、知ってからは彼からの必ず離婚するという言葉を信じていました。愚かだと思います。現在、関係は解消しています。私自身は不動産収入もあり1人でも生活の不安はないこと、宗教的な理由から中絶はしたくなく、結局出産する道を選びました。

 子供の父親からは認知してもらい、また毎月決まった額の養育費振込と子供との月1回の面会の約束を公正証書にて取り交わし、続けています。子供と一切会わせずに関係を断つことも何度も考えましたが、会う/会わないどちらにしても不満が出てくるはずなので、本人の意見が出てくるまではどちらか選べるよう、現時点では会える道を残しています。子供は彼をパパと呼んで遊びに行く日を楽しみにしているようでもあり、全く忘れているような時もあります。

 子供も幼稚園に通うようになりました。まだ聞いてはきませんが、自分の父親との関係は? なぜ一緒に住んでいないのか? どのようにして生まれたのか? などの話を、今後子供にどのように説明していけばよいのか悩んでいます。また、私自身は、自分の決めた道ですので、世間から何をいわれても目の前のことに誠実にひたすら精進してゆくのみであると心得ていますが、子供が世間からの誹(そし)りを受けたり、悩んだり苦しむことを考えると大変申し訳なく、夜眠れずに悩んでいることもしばしばです。

 鴻上先生でしたら、いつごろ、どのように説明しますか? この先、子供に対してどのようにしたらいいでしょうか? ぜひご意見をお願いいたします。