九州・沖縄地区の“女子野球”NO.1チームを決める大会『2022ホークスカップ クイーンズトーナメント supported by SMBC』が6月11、12日に開催されました。主催はNPO法人ホークスジュニアアカデミー。場所はファーム本拠地・タマスタ筑後で1回戦から準決勝まで、決勝戦は初めて聖地・PayPayドームで行われました。

 決勝に進めば、憧れのドームで試合が出来る。夢舞台を準備して頂いたことで、各チーム、より一層気合いが入っていたように感じます。しかも、この日はホークスの大人気イベント・タカガールデー。デーゲームでホークス戦が行われ、そのままナイターで女子野球の決勝。満員御礼の大観衆に少しでも残って観て頂きたい、少しでも“女子野球”のことを知って頂きたい。そういう意味でも貴重な巡り合わせとなりました。

 その決勝戦は今年1月に誕生した福岡唯一の女子硬式野球クラブチーム・九州ハニーズVS折尾愛真高校の福岡県勢対決に。九州女子硬式野球リーグ戦や練習試合などで何度も顔を合わせてきた両チーム。今回は九州ハニーズが終始主導権を握る展開になりました。

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 九州ハニーズ先発の百田陽菜投手が1安打完封という素晴らしいピッチング。今年高校を卒業したばかりの19歳で、人生一緊張していたそうですが、途中までパーフェクト投球。恐るべき高卒ルーキーがやってのけました。

 打っては川端友紀選手の適時打で鮮やかに先制し、楢岡美和選手、船越千紘選手の連続適時打などで初回に一挙4得点。日本代表経験のある選手達が打線を牽引しました。

 結果的には9-0と点差が開き、九州ハニーズが快勝。初出場初優勝を飾りました。しかし、折尾愛真の投手陣も打たれはしたものの、素晴らしい制球力と力のあるボールを投げ込みました。最後まで諦めずチーム一丸となって戦う姿は本当に素晴らしかったです。

 MVPには、1回戦で今大会唯一のホームランを放った九州ハニーズの深海舞絵選手が選ばれました。女子だって柵越えするんです! 物凄いパワーで観衆を沸かせました。

九州ハニーズがクイーンズトーナメント初出場初優勝 ©上杉あずさ

ホークス選手たちの頑張りを励みに…

 女子野球が盛んかと言われたら、決してYESとは言えない九州の地で、福岡ソフトバンクホークスのバックアップの下、このような大会が開催されたことは非常に意義深いことでした。九州の女子野球発展に向けて1つキッカケになりそうな2日間だと感じました。

 そして、かく言う私も優勝した九州ハニーズの選手としてベンチ入りしました。プレイングライターとして今回は文春野球コラムの筆をとらせて頂きました。

 ここからは私とホークスの話になるのですが、読んで頂けたら嬉しいです。私、上杉あずさは、福岡を拠点にタレント活動や執筆活動をしています。中でもホークスの取材活動を始めて今年が7年目になりますが、クイーンズトーナメントの会場でもあったタマスタ筑後が開業した2016年からは主に筑後で奮闘する若鷹の取材に奔走してきました。

タマスタ通いも今年で7年目の筆者 ©上杉あずさ

 観る側、伝える側が主戦場の私がなぜ九州ハニーズの“選手”になったのか。これも全ては取材が始まりでした。福岡に女子野球チームが出来たと聞いて、興味が湧いた私は、発足したばかりの九州ハニーズの本部を訪ねました。この文春野球コラムでも一度書かせて頂きましたが、取材をしてその魅力を感じ、「私も挑戦してみたい」という想いが込み上げてきました。突き上げられた想いのままにトライアウトを受験し、なんと入団することが出来たのです。

今年1月、筆者は九州ハニーズを立ち上げた川端友紀選手、楢岡美和選手を訪ねた ©上杉あずさ

 しかし、私は硬式野球初心者。ちゃんと野球を習ったことはありません。でも好きな野球をやってみたいということで草野球を楽しんでいたアラサーでした。今回、居ても立ってもいられなくなり、覚悟を決めて女子野球界に飛び込みました。

 気持ちはあるんですが、なんせ技術も経験もまだまだ足りません。このクイーンズトーナメントでも、私はチームで唯一出場機会がありませんでした。新しい世界での日々は毎日刺激的で楽しいですが、そういう悔しい気持ちは常に抱いています。

 そんな時、励みになっているのがホークスなんです。取材では選手たちの奮闘っぷりを間近で見て、話を聞いて、コラムやリポートで言葉にします。頑張っている選手たちの姿を世に伝えると同時に、自分自身を奮い立たせています。立場もポテンシャルも違うのは重々承知ですが、ちょっとだけ重ねてみたりして、活力にしています。