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今年のホークスはひと味違う…1番三森大貴、2番牧原大成は何がすごいのか

文春野球コラム ペナントレース2022

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 首位を走るホークス。下馬評通りにパ・リーグをしっかり引っ張っているが、その戦い方や内容そしてチームを引っ張っている選手は、開幕以前に予想されたものとは全く違うものになっている。

 どうも! 再び登板の機会をいただき、半年ぶりに文春野球というマウンドに帰ってきました。福岡よしもと所属・とらんじっと「あらた」です! まだまだ、はじめましての方がほとんどだと思うので、簡単に自己紹介をさせていただきます。僕は福岡県宗像市の出身で小中高大と15年間野球をやっていて、大学3年時には、福岡六大学野球リーグでベンストナインを獲らせていただきました! そして今では、野球好き・ホークス好きが高じて、ラジオでホークスの公式戦全試合を徹底解説させていただいております!!

とらんじっと。左が筆者の「あらた」

 そんな僕が選ぶ、ここまでのホークスの快進撃の立役者である2人についてお話しさせていただきます。

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リードオフマンの「超積極的なバッティング」と「超積極的な走塁」

 1人目は不動の1番打者、三森大貴選手。まだ23歳の若鷹だが、いまのホークスは三森さん無くしては語れない。まさにリードオフマンの働きをしている三森さんの一番の特徴は、「超積極的なバッティング」と「超積極的な走塁」である。相手投手が嫌がる1番バッターの特徴を全て兼ね備えているのが三森さんなのである。

 まずバッティングは、ファーストストライクからとにかくフルスイングをする。これは誰もができることではなく、打席に入るまでの心と身体の準備ができている証である。ファーストストライクを簡単に見逃す打者は相手投手からすると、タダで1球ストライクをくれているようなものなので、全く怖くない。さらに、追い込まれれば変化球を見事に逆方向に運びヒットにしてみせる。相手投手が嫌がるのも当然である。

 また、三森さんは打席のホームベース側の線の真上に立って構える。相手投手にインコースを非常に投げにくくさせるのはもちろん、ストライクゾーンが半分に見える感覚に陥らせるという二つの利点がある。しかし、ベースに近い位置で立つことは容易なことではない。なぜなら、極端なインコース攻めをされるケースもあれば、コントロールミスでデッドボールになる確率も上がる。特に左投手の抜けた球が当たると、その残像が残りトラウマにもなるし、ケガの危険性が上がる。硬球はほぼ石の硬さなのでデットボールの痛さはもう言葉を発せないほどである。さらに、それ以降は恐怖で右足を踏め込めなくなる選手もいる。だけど、覚悟を決めて白線ギリギリで構え続ければ、自然と相手の配球はアウトコースに集まる。本来であれば際どい球なのだが、三森選手の場合は真ん中付近に見えてしまうのだ。まさに相手が嫌がる罠のような戦術である。

三森大貴

 もう一つの魅力が超積極的な走塁である。ファンにすれば走塁はバッティングや守備よりも軽視されがち。盗塁は目立っても、他の好走塁はなかなか認識されにくい。ただ、これを常日頃から、抜け目なくやっているのが三森さんなのである。健大高崎高校が甲子園で「機動破壊」という言葉で取り上げられたが、まさにそれをここまで常にやり抜いているのが三森さんなのだ。

 具体的に言うと、相手捕手がショートバウンドを体で止めて、前に落としても、三森さんはすかさず次の塁を落とし入れる。また、シングルヒットでも相手野手の中継が乱れると、二塁を落とし入れる。このような光景は、三森さんの走塁意識の高さが生んでいる。

 ではなぜこのような走塁ができるかと言うと、足が速いことはもちろんのこと、常にそうなる状況を想定してスタートを切っているからである。相手のミスが起こった後にスタートを切っても、次の塁を落とし入れることはできない。しかし、毎回、一歩のスタートを切ることで、スムーズに足を運ぶことができ、好走塁へと繋がる。シングルヒットが好走塁によって、二塁打にも三塁打にもなりえる。まさに最強の1番打者なのである。

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