サラリーマンの夫を持ち、育児と家事に奮闘する。そんな平凡な専業主婦が、カルト宗教にハマってしまった。「大家族の中で、ひとりで信仰を保つのは大変でしょう」という先輩信者のことばを受けて、家庭内に“味方”を作ろうとするのだが――。

『カルト宗教信じてました。』(彩図社)は、「エホバの証人」にハマってしまった母親を持つ漫画家・たもさんの実体験を描いたコミックエッセイ。

 たもさんは作中で、当時の母親の心境を《宗教に走る女と不倫に走る女は似ていると思います。どちらも寂しい人で、心のスキマを突かれ、甘い言葉に乗せられ…夫や家族以外に拠り所を見つけてしまうのです》と振り返る。

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©たもさん/彩図社

「最も印象に残っているのは、たもさんのお母さんがエホバに入信したあとの行動です。まずは先輩信者のアドバイスに従い、4人きょうだいの次女であるたもさんを、なかば騙すような形でエホバに引き込みます。そして、頑なに拒否していた夫までも“弱み”を握って入信させる。私自身はカルト宗教と縁遠い人生を送ってきたので、こういう勧誘の構造があるということにまず驚きました」(担当編集者の大澤泉さん)

洗脳から抜け出したきっかけは…

 たもさんは10歳のときにエホバに取り込まれ、その世界にどっぷり浸ることに。本書では、洗脳から抜け出すまでの25年間が克明に記されている。