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主人公はあえて“古墳オタク”じゃない女の子に

――2巻からはじまる合宿のシーンでは、穂乃香が石室や石舞台に自分の気持ちを重ねています。

浜谷 実際に古墳に行ってみて、もし3人が来てたらこんな感じかな?と考えていました。現地に足を運ばないとやはりピンとこない部分があるんですよね。

 合宿のシーンは、読んでいた古墳の本に、藤ノ木古墳が出てきて、石室を見てここがいいかも、と思ったんです。

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 そのあと、周辺の地図を見て、こういう風にまわるかな、とか、泊まるのはこのあたりで……、と細かく決めていって、実際に現地を見に行きました。

 そのルートに石舞台古墳もあって、不思議とピタリと物語にはまっていく感じで。

合宿で訪れた石舞台古墳は穂乃香の気持ちの動きのキーに/『やまとは恋のまほろば』より

――浜谷先生ご自身はもともと古墳がお好きで訪れていたのでしょうか。

浜谷 もとからすごく詳しいというわけではなくて、「おたけやま古墳」のモデルとなった古墳に数回遊びに行ったことがあったくらいでした。

 でも、古墳の形やグッズはかわいいな、と前から思っていて。

 なので、穂乃香は古墳に超詳しい“オタク”の主人公にはしていません。

 読んだ人が共感できるような、ライトな古墳好きの女の子にしています。

穂乃香は「おたけやま古墳」にだけ行ったことのあるライトな古墳好きだった/『やまとは恋のまほろば』より

 それで、読者の方にも穂乃香の視点がわかりやすく、作品世界に入ってもらいやすいのかもしれないですね。

 穂乃香のキャラ造形は、“前方後円墳”の形に関連付けたい、ということは決めていたんですが、自分に自信がない、特別すぎない子という意識で作りました。

穂乃香は自分に少しコンプレックスを抱えた主人公/『やまとは恋のまほろば』より

 性格も、極端にいい子だとかではなく、等身大でよくある悩みを持っている“普通”の主人公にしようと思っていました。

 私自身が、すごくポジティブな性格というわけではないので(笑)。

 読む人にも“普通”の女の子にしたほうが、穂乃香の気持ちを想像しやすいのかな、と。