34期連続で増収増益を成し遂げ、売上2兆円のドン・キホーテ。無一文から日本を代表する創業経営者へ――そんな大成功の裏には「運」の存在があった。
ここでは、ドン・キホーテ創業者・安田隆夫氏の新刊『運』(文春新書)を一部抜粋して紹介する。安田氏が生涯をかけて学んだ、人生とビジネスにおける「勝利の法則」とは?(全2回の2回目/最初から読む)
◆◆◆
ところで、スポーツ選手や棋士など、勝負事を仕事にする人は、いわゆるゲン担ぎを大切にするようだ。経営者も同様である。誰もが知る大物経営者が、大事な会合でのシャツやネクタイの色にこだわり、宴席での食事メニューを気にかけるなどといった話もよく耳にする。「できるだけ運気を良くしよう」とか、「ここまでのいい流れを断ち切らないようにしなければ」などという思いが込められているのだろう。
ゲン担ぎはいっさいやらない
私はそうしたゲン担ぎは、一切やらない主義である。姓名判断だとか、風水、四柱推命、手相などの類も、全く気にかけない。実際、これまでドン・キホーテのオープンは「仏滅」の日も多かったし、2017年に開業したシンガポールのアジア1号店(DON DON DONKI)は、いまだに超繁盛店だが、実は風水で最悪と言われた場所に店舗を構えている。
ゲン担ぎのような簡単なことで運がよくなるのなら、誰も苦労はしないだろう。自分の気持ちを整えることはできるかもしれないが、要はそれだけのことだ。本当の意味での開運とは何の関係もないと私は思っている。
また、迷信や縁起についても気にしない。そうしたものに必要以上にこだわって右往左往するのは、逆に運を下げる要因になるのではないか。科学的な裏付けがないものを断ち切る強さがいい運を呼ぶ、というのが私の体験的持論である。