「セカンド仏壇ですね」
ただ、じつは現在母親と一緒に暮らすAさんのご自宅には、父親が亡くなった後に購入した仏壇がすでにある。
「もともと家にある仏壇もリビングに置いていて、朝起きたら『おはよう』と声をかけるし、テレビを見ながら色々話しかけたり。母も『お父さんの新しいお家だね。今までで一番小さいけどね』なんて最初は話しかけていました。亡くなっても仏壇があるおかげで、今も話す機会があるし、ずっと家族一緒です。夜になるとホークスの中継をつけて、一緒に観戦していますよ。お仏壇には王会長から頂いたサインボールを飾って。テレビ中継がない日はラジオを聞いています」
ホークス仏壇は、元々ある仏壇の隣に置く予定だという。「セカンド仏壇ですね」とAさんはまた明るく言った。
「ちゃんとテレビが見える方向に置こうと思います。ただ、父も昔の人間で堅実家だったので『もったいない』なんて言っているかも。でも、母が父のためと言っていたんだから空の上で喜んでいると思います。これからも一緒にテレビを見ながらホークスを応援したいです。去年の2月に亡くなったので、去年のシーズンでホークスが苦戦したのは知らないんですよね。監督が工藤公康さんから藤本博史監督になって驚いていると思いますよ。今年はぜひ、優勝してもらわないと。日本シリーズまで一緒に応援して、藤本監督が胴上げされるシーンを見届けたいです」
Aさんは今日も「おはよう」とお父様に語りかけるところから1日が始まる。試合が始まる時間になれば、想いを一緒に同じ空間で時を過ごす。“破格”と話題になったホークス仏壇だったが、心温まる家族の絆を教えてもらったような気がする。
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