2020年4月、福岡県篠栗(ささぐり)町で当時5歳の三男・翔士郎ちゃんを餓死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われていた碇利恵被告(40)に懲役5年の判決が言い渡された。

 2022年6月6日から福岡地裁で始まった初公判では、碇被告は起訴事実を認める一方、検察側は「子供を守るという行動を放棄した責任は重い」として、懲役10年を求刑していた。弁護側は共犯として起訴された知人の赤堀恵美子被告(49)にマインドコントロールをされていたなどとして、執行猶予付きの判決を求めていた。

 6月10日に開かれた第5回公判では、赤堀恵美子被告(49)が証人として出廷したが、「私の裁判があるので答えません」と証言を拒否。尋問はわずか20分ほどで終了した。赤堀被告の公判日程は未定のままだ。

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 なぜ「ママ友」だった2人が翔士郎ちゃんを死に追いやったのか、2人の奇妙な関係を詳報した当時の記事を再公開する。(初出:2021年3月6日 年齢、肩書き等は当時のまま)

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「夜22時くらいに、『電話の調子が悪いから電話を貸してください』と(女性が)血相を変えて店に飛び込んできたんです。電話を貸すと青ざめた表情で店の奥の方に移動して5分ほど電話をかけていた。かなり緊迫した様子で、普通ではなかったことを覚えています」

 2020年4月18日22時頃、当時5歳だった三男・碇翔士郎(しょうじろう)ちゃんが呼吸をしていないことに気づいた母親の碇利恵容疑者(39)が近隣商店で電話を借りてかけた先は、110番でも119番でもなく、ママ友の赤堀恵美子容疑者(48)だった。

5歳児が餓死した現場マンションと赤堀恵美子容疑者

 連絡を受けた赤堀が夫とともに碇の自宅を訪れ、赤堀の夫が119番通報後、搬送された病院で翔士郎ちゃんの死亡が確認された。

 福岡県篠栗(ささぐり)町で5歳児が餓死したこの事件。2021年3月2日に福岡県警が保護責任者遺棄致死容疑で逮捕したのは、ママ友同士だった2人の容疑者だった。両容疑者は2019年8月頃から共謀して、翔士郎ちゃんの食事を減らすなど低栄養状態にして餓死させた疑いがある。取り調べで赤堀容疑者が碇容疑者を精神的に支配し、多額の金銭を巻き上げていたことがわかっている。

 篠栗町内の同じ幼稚園に子供を通わせていたことで、2016年4月頃に2人は知り合った。だが、当時から赤堀容疑者の評判はよくなかったという。近隣住民が話す。

「虚言癖のクレーマー」として有名だった

「赤堀さんは“虚言癖のクレーマー”としてママさん界隈ではかなり有名な人でした。一度見たら忘れられない容姿ですから、目立ちます。基本的に赤堀さんはいつもすっぴんで過ごしているんです。女子プロレスラーのダンプ松本さんをさらに太らせたような見た目で、陰でいじられていることもありました。

事件をめぐる人間関係の構図 ©共同通信社

 4年前に話した時、彼女は自分のことを『赤堀ユウナです』と周囲に名乗っていた。偽名を使っていたんです。本名は報道を見て知りました。年齢も『34歳です』と実際よりも10歳もサバを読んでいた。

 たしかに以前から周りでは、『絶対年齢偽ってるよね』という話も上がっていました。特に追及する人もいなかったのですが、今回の報道を見てやっぱりかと思いました。今思うと『私の方が年上なんだから、〇〇さんがやってよー』と学校の雑務を押し付けてくることもあったので、話の辻褄は合っていなかったんです。