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手をつないで“神楽坂デート”を…

「手をつないで神楽坂でデートしたり、B先生の自宅に泊まったり、子供の送迎や夕食の用意をさせられることも。性行為は自宅や研究室でもあり、同泊の海外出張も計4回あったといいます」(同前)

 相手は博士課程への進学のために推薦状を書いてもらう指導教員であり、家庭を持つ女性でもある。Aさんは、深く思い悩んだ。

「『こういう関係はやめよう』と何度も話し、性行為の最中に伝えることもあったそうです。しかしB先生は『口外するな』と言うばかりだったと」(別の教職員)

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 こうした関係は、18年夏頃まで続いたという。

「A君は別の教員の指導を受け、修士課程をトップで修了。その一方でB先生との関係が原因でPTSD状態に陥って、周囲に『死にたい』と頻繁に漏らし、自殺も考えた。B先生に抗議のメールを送ると、『私の過ちだった』と返事があったものの、誠意ある謝罪はなかったそうです」(同前)

田中愛治早大総長

 そこでAさんは21年3月、早大のハラスメント防止委員会に申し立てをした。ところが同年7月に出たのは「ハラスメントはなかった」という結論だった。

 納得ができないAさんは訴訟を検討。すると、大学側は外部の弁護士から構成される「コンプライアンス委員会」を8月に立ち上げ、再調査を開始した。

 小誌は調査結果が記載された内部文書を入手。22年3月18日付で田中愛治総長の名義で出された文書は〈性交した事実を認められず(中略)セクシャルハラスメントがあったとは認定できなかった〉とする一方で、こう書かれている。

〈対象者が、大学教員と学生という立場の違いを鑑みず、本件学生と出張先で同室に宿泊したり、本件学生を自宅に宿泊させたりする等、教育研究活動における必要性を超えて親密に接したことは、大学教員として不適切な行動であった〉

早大が総長名で調査結果を報告した内部文書

 ハラスメントに詳しい井口博弁護士はこう指摘する。

「教員と学生という拒否が困難な関係性の中で、同泊などの適正な指導の範囲を超えた不適切な行動があったことは認めており、すでにアカデミックハラスメントの要件は満たす。それにもかかわらず、ハラスメントがなかったという大学側の結論は理解に苦しみます」

 冒頭のように疑問を抱いたAさんは3月25日、性行為を強要され、精神的苦痛を被ったとしてB准教授と早大を東京地裁に提訴。B准教授に質問状を送ると、弁護士を通じて回答した。