「大好きだよ。そう言って彼女はバンダナを手渡し、両手を縛るよう頼みました」

 昨年5月、東京都台東区で発生した高校3年の女子生徒(当時17)の殺害事件。嘱託殺人や現住建造物等放火などの罪に問われた同級生の少年(19)は8月29日、東京地裁で開かれた初公判で、殺害直前の状況を裁判員の前で明らかにした。

事件後、女子生徒宅には花が手向けられていた ©共同通信社

 法廷に現れた少年は長身の細身で短髪。襟付きの紺色シャツとグレーのスラックス姿だった。少年であることから、証言台に立った時以外は遮蔽措置が取られていた。

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 起訴状などによると、少年は昨年5月3日夜、同区の女子生徒宅のマンションで、女子生徒に頼まれてバンダナで両手を縛り、腕で首を絞めて殺害。一度現場を離れた後、翌朝に戻ってベランダから侵入し、遺体のあった布団に火を付けるなどしたとされる。

 傍聴した社会部記者が話す。

「少年は、起訴事実について『間違いありません』と認めました。そして検察側は冒頭陳述で『女子生徒は妊娠していました』と事件の引き金を明らかにしたのです」

 同じ高校だった少年と女子生徒は交際しており、事件当日は家族が不在だった女子生徒の家を少年が訪ねていたという。少年は妊娠を告げられた後の経緯を淡々と語った。