まさかの西武移籍から4年……
ジャイアンツのエースとして長らく活躍し、15年目を終えた2018年。僕のチームメートだった炭谷銀仁朗が国内FAを宣言し、ジャイアンツへ。その人的補償選手として、内海のライオンズ移籍が発表された。
当時、このニュースに耳を疑った野球ファン、ジャイアンツファンも多かっただろう。僕にとってもビックリのニュースだった。
内海自身、プロ野球選手になってジャイアンツでプレーするという夢がかない、15年もプレーして愛着あるチームを離れるのはかなり複雑な気持ちだったのではないだろうか。僕もチームを変わった経験があるが、10年以上在籍したスワローズから突然ライオンズへの移籍が決まった時はかなり複雑な心境だった。
しかし、チームを移るのはプロの世界ではよくあることで、選手にとってチャンスでもある。おそらく内海も気持ちを切りかえて、ライオンズでもう一花咲かせようとすぐに決心したのではないだろうか。
そうして所沢にやって来て、早くも4年目を迎えている。すっかりライオンズのユニフォーム姿も板についてきた。今季から、投手兼コーチという立場でチームを支える役割も果たしている。
僕も現役最後の2016年、日本ハムで捕手兼コーチ補佐という立場ですごさせてもらった。勝手にだが、内海とは意外と共通点が多いと思っているので、チャンスがあったらいろいろ話してみたい(笑)。
内海が長くプレーできる要因
プロ入り19年目を迎えた今年の5月7日、内海は日本ハム戦でシーズン初登板初先発を果たした。
立ち上がりから内海らしいピッチングで、5回3安打1失点に抑えて勝利投手の権利を持って交代。史上92人目の通算2000投球回も達成した。残念ながらチームは逆転負けを喫し、内海の今季初勝利は消滅したが、本当に素晴らしい粘りのピッチングだった!
試合後、内海はこうコメントしている。
「1軍のマウンドは最高だと改めて思いました。試合前は本当に緊張して、(現役は)もういいよと思いましたが、この舞台は経験すると病みつきになる。また戻ってきたくなります」
ホント、わかるなぁ、この気持ち。出場機会が少なくなって、間隔があいて試合に出るときってめちゃくちゃ緊張するんですよ。でも、また出たいって感じる。
さらに、内海はこう続けた。
「いろいろなプレッシャーがあります。毎週投げられるわけではないので、一発回答を求められる。今日ダメだったら、もう次はないんじゃないかという崖っぷちの状態でいましたし、それがこれからも続くと思います」
ホント、わかるなぁ、この気持ち。ベテランは常に崖っぷちにいるものだ。
そして最後に、「生きるためには考えなくてはいけない」とも話した。プロ19年目にして、新球種にチャレンジする向上心と探究心。指導者でもある内海のこの言葉は、ライオンズの未来ある若い世代に届いてほしいと心から思う。
僕も最近、青少年に野球を指導させてもらう機会が増えてきたから感じることがある。もちろん技術的なことも大事だけど、最終的に一番重要なのは何事にも主体性を持って取り組む姿勢ではないだろうか。
内海は主体性を持って野球と向き合ってきたから、プロ野球という厳しい世界で今も現役でプレーできているのだと思う。
最後になりましたが、内海コーチ。ライオンズの黄金時代の到来を待っているライオンズファンのために、選手育成のためにどうか力を貸してください!
そして内海投手。もう少しユニフォーム姿を見せてくれ!
メキシコで見せてくれたあの最高のスマイルを、僕はもう一度、所沢で見たい。
◆ ◆ ◆
※「文春野球コラム ペナントレース2022」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/55456 でHITボタンを押してください。
この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。