文春オンライン

「どういう表情をしていいのかわからなくなって…」DeNA・今永昇太にノーヒットノーラン達成の本音を聞いてみた

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/07/14
note

「僕はすごい事をしたって気にはなれないんですよね」

寺田「ありがとう。俺も思わずおめでとうのメッセージを送っちゃったんだけど、連絡って何件くらいきたの?(ちなみに余談だが、私のおめでとうのメッセージにも律儀に返事をくれた。ただやはり内容は日本語として成立していなかった)」

今永「150~200件くらいですかね」

寺田「すごいね。やっぱりそういうメッセージを見ると、ノーヒットノーランの実感は湧いてくるものなの? チームメイトからはもみくちゃにされたりしたのかな?」

ADVERTISEMENT

今永「そんな気もしますね、ただひとつサプライズというか、粋な計らいがあったんですけど、ホテルの部屋に帰ったらシャンパンがあって。嬉しかったですね。まだ飲めてはないんですけど、いつか飲もうと思ってます。チームメイトは意外とあっさりしてた気もします」

寺田「そうなんだね。そういう祝福を受けると、なんかとてつもない事を達成したぞ!みたいな気持ちは正直出たりしないの? 俺からしたら、もう想像もつかない世界過ぎて、もし自分がプロ野球の一軍でノーヒットノーランなんか達成したら、舞い上がっちゃって仕方ないくらい嬉しいのかなって思ったりもしたんだけど」

今永「正直な話、お祝いしてもらったり、達成して嬉しいとかはありますけど、舞い上がるとかはないですね。だって寺田さん、よく考えてくださいよ。日本には大体1億2000万人いて、そのなかで野球に興味がある人がどれくらいいるんでしょうか。日本の人口の数%の方には興味深いことかもしれませんが、野球に興味がなかったり、知らない人だってたくさんいらっしゃる。そういう方たちからしたら、ノーヒットノーランって何?ってなると思うし、たとえニュースで見ても、ふーん、で終わると思うんですよ。逆に考えたらそうじゃないですか。自分が興味のない分野のニュースがいくらやってても、ほとんどがふーん、って感じで流れてくじゃないですか。そう考えたら、なんていうか大したことじゃないっていうか、そう言うと語弊があるかもしれませんが、僕はすごい事をしたって気にはなれないんですよね。そんな感じです」

寺田「そういう捉え方もあるのか。一応元プロ野球選手の俺からすると、とんでもない偉業に思えるけど、謙虚な姿勢って大切って思わせてもらえたわ。今日はお忙しいところありがとうね。あ、最後に、ヴォル会の話は書いてもいい?」

今永「いいですけど絶対滑りますよ寺田さん!」

寺田「じゃあさらっと書いておくね。それでは今度こそありがとう」

今永「ありがとうございました」

 久しぶりに電話で話した今永投手はいい意味で何も変わってなくて、電話の向こうから私をたくさん笑わせてくれた。真剣に考えて、全力で表現し続ける今永投手だからこそ、みんなに愛されるんだなと思わせてもらった。これからもチームの中心として、是非とも頑張っていただきたい。ここから始まるであろうベイスターズの快進撃の中心に彼がいる事を願って、いちファンとして応援していく。

◆ ◆ ◆

※「文春野球コラム ペナントレース2022」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/55468 でHITボタンを押してください。

HIT!

この記事を応援したい方は上のボールをクリック。詳細はこちらから。

「どういう表情をしていいのかわからなくなって…」DeNA・今永昇太にノーヒットノーラン達成の本音を聞いてみた

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春野球をフォロー
文春野球学校開講!