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石毛宏典、松沼博久…レジェンドたちが続々乗車 “夢の電車”で何が行われていたのか

文春野球コラム ペナントレース2022

2022/07/15
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西武ならではの「野球×鉄道」の強み

 3日目の松沼兄やんさんとは、入団1年目に「ほとんどキャンプらしいキャンプをしないでシーズンに突入して新人王を獲得した」話や、ライオンズへの愛情のあまりに放送中に感涙したエピソードなどで盛り上がった。

 西武のレジェンドを迎えて“野球アナ”としてそんな話で盛り上がった一方、“鉄ちゃん”として気になって仕方なかったのは「今、どの辺を走っているんだろう?」という事だった。池袋駅から西武球場前駅まで、所要時間は1時間と少々。通常の所要時間よりは、かかる。というのも臨時電車なので、通常の運行ダイヤの間を縫って走るのだ。

 途中の保谷駅で20分近く停車して各駅停車に抜かされたり、所沢駅を通過したりと、普段は経験できない体験にテンションが上がる(←鉄道好きにとっては)運行スケジュールなのだ。

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 今までも様々な企画列車を走らせてきた西武鉄道。ましてやライオンズの試合終了時間に合わせて巧みにダイヤを組める「ナイターダイヤ」も実施しているわけで、野球と鉄道が連携できる西武の「強み」をこんなところにも感じた。

 もっとも、他の車両の(鉄道に興味の無い)アナウンサーの皆さんは、「所沢を過ぎたら、話のまとめに入ろう」と思っていたところ、その所沢を通過してしまったので、終点まであと2駅の「西所沢」で停車するまで気付かず、かなり焦ったそうだ。

西武球場前ゆきの車中で松沼博久(右)と記念撮影 ©小笠原聖

究極の「レジェンド・エキスプレス」

 道中ではOBのサイン入り記念品をお渡ししたり、記念撮影をしたりと、あっという間に時間は過ぎていった。中には、石毛さんや松沼さんに是非みてもらいたいと、30年以上前の応援グッズや写真を持ってきていた人もいた。

 そんな皆さんにライオンズとの出会いを聞くと、「西武線の沿線に引っ越してきてからライオンズのファンになったんです」という声が多かった。なので、レジェンドへの質問の中には「西武線沿線でどこが好きですか?」「試合の時に電車を使った事はありましたか?」など、野球よりも西武線そのものに寄った質問まであった。それだけライオンズが地域、とりわけ西武線沿線に根付いている証拠である。

 西武球場前駅に到着した後は各号車ごとに、レジェンドOB全員と記念撮影が行われた。

 以上で「レジェンド・エキスプレス・ツアー」の日程は終了・解散となり、試合を観戦する人たちは改札を抜けてベルーナドームの中へ。今回の列車は西武球場前に16時過ぎに到着、16時30分には解散となったので、皆さん余韻を楽しみながらゆったり入れた事だろう。

 一方で参加したレジェンドはというと、その直後の16時33分に西武球場前を出発する西所沢行きに間に合うように、「この次の電車は51分だってさ! 乗るぞ~!」と1番ホームへ急いでいた。

 球場に向かう人を吐き出した折り返しの「各停・西所沢行き」に、レジェンドの皆さんが、しかも今度は同じ号車に向かい合わせで座っている。ここが究極の「レジェンド・エキスプレス」になっていたのは、言うまでもない。たまたま乗り合わせていた人は、どれくらい気付いていたのだろうか?

 ちなみに今回のイベントの中心として動いてくださった角さんによると、これを機に、PBL(プロフェッショナル・ベースボール・レジェンド)として、今後もこういった企画をどんどん進めて行きたいとのこと。僕もこのような機会があれば、是非参加させて頂きたいと思う。

 鉄道と野球、愛する2つの魅力を同時に味わえた「鉄っちゃんアナ」にとって、まさに夢の時間でした。

控室でもレジェンドたちと楽しいトークで盛り上がった ©小笠原聖

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