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“ファンキー加藤の呪い”を解いた2年ぶりの先発。楽天・藤平尚真はやはり何かを持っている

文春野球コラム ペナントレース2022

 7月18日、楽天生命パークでの対オリックス戦。2年ぶりの先発マウンドには藤平尚真が上がっていた。ストレートの最速は150キロを計測し、4イニングを被安打2、失点1に抑えた。四死球4、球数81球と求めだすと切りが無いが、ナイスピッチングだったと言いたい。そして彼が先発してくれた事が何よりも嬉しかった。ひとまずここまでたどり着いたんだ。

藤平尚真

超一流の手本がこんなに沢山いるチームだが…

「楽天は凄い先発ピッチャーがたくさんいるし強いよなぁ」

 シーズン前、他球団ファンの野球仲間から必ず漏れ聞こえてくるセリフだ。もちろん凄い先発ピッチャーはたくさんいる。間違いではない。ただ正確に言うと凄い実績を積み上げてきた素晴らしい先発ピッチャーはたくさんいる、になると思う。

「次は僕達が主役ですよ!」と頭角を現してきている20代前半の先発ピッチャーは早川隆久一択。超一流の手本がこんなに沢山いるチームでこれはあまりにも寂しい。

 昨シーズン開幕前の番組で、かみじょうさんが考えるキーマンは?の問いに、バッターでは辰己涼介、ピッチャーは藤平尚真と答えた。ドラフト1位ルーキー早川隆久とは同級生。期待のルーキー左腕が活躍する事で、お互いがいいライバルとして高め合えれば、2021年度シーズンだけではなく、今後のイーグルスの未来も明るいと考えたからだ。

 しかし蓋を開ければ二桁勝利を惜しくも逃したものの9勝7敗の大活躍でシーズンを終えた早川隆久に対し、藤平尚真は入団して初めて一軍での登板機会さえなかった。こんなはずじゃない。誰よりも本人が感じていたはずだ。

事前情報と全く違ったドラフト会議

 2016年のプロ野球ドラフト会議を思い出す。ドラフト当日はRakuten.FMのお仕事で仙台にいた。もちろんイーグルスにオススメの高校生含めアマチュア選手について、野球にまったく関係のない小ネタを織り交ぜながらマイクの前でニヤニヤ、そしてドキドキする至福の時。程なくしてドラフト会議もはじまる。パーソナリティの河内一朗さんが明らかに緊張の面持ちになり、なぜか吹き出しそうになる。楽天は田中正義(創価大学)、佐々木千隼(桜美林大学)、柳裕也(明治大学)の3人の即戦力右腕から1位を選ぶのでは?と言われていた。

 しかし、

 第1巡選択希望選手、

 東北楽天……

 藤平尚真、投手、横浜高校。

 ラジオブースにいる僕達もぶっ飛んだ!!

「藤平やぁ!!! すげぇー!!!」

 事前情報と全く違ったのと、高校生No.1の素材だと言われていた彼への期待とで、胸が張り裂けそうになる。そして1位指名が終わったところで現地にいた楽天関係者の方からとんでもない情報が飛び込んでくる。

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