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《埼玉・白岡15歳少年暴行死》「小さい魚をきょうだい皆でわけて食べている」 8人きょうだい“ヤングケアラー”だった少年の「凄惨な日常」と「思い出のピース写真」――2022年上半期BEST5

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genre : ニュース, 社会

2022年上半期(1月~6月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。事件部門の第3位は、こちら!(初公開日 2022年1月24日)。

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 埼玉県白岡市で15歳の中学生・加藤颯太くんが1月15日、自宅で意識不明の状態で見つかり、その後死亡した事件。

 颯太くんは8人きょうだいの大家族で、母親とその内縁の夫であるA氏と同居していた。長男の颯太くんは弟、妹の面倒を見るため小学校5年生から不登校となり、同級生など地元の友達とは疎遠だったという。

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家宅捜索を終えた県警の車両 ©文藝春秋 撮影:上田康太郎

 母親は、15日の数日前に颯太くんが「ケガをして帰宅した」と説明。近隣でも先月、足を引きずって歩く颯太くんの姿が目撃されている。県警は事件との関連を慎重に捜査している。(#1の続き)

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 取材班に提供された1枚の集合写真。満面の笑みでピースをするのは小学4年生の頃の颯太くんだ。

亡くなった颯太くん。小学4年時には満面の笑みを見せていた

 当時、一家は埼玉県の蓮田市内の借家に暮らしていた。

 引っ越した後の白岡市の小学校では颯太くんは不登校で、卒業アルバムには名前しか残されていなかった。この写真は、数少ない颯太くんの小学校時代の思い出の写真だ。

小学校4年生の頃から不登校に…

 同級生の保護者が証言する。

「一番上のお姉ちゃん、颯太くんとその弟が小学校に通っていたのですが、颯太くんも小1~小3くらいまでは、学校にもちゃんときていました。礼儀正しくて活発な子で、近所のお友達ともよく遊んでいた。不登校になったのは4年生くらいから。『下の子どもの面倒をみないといけない』と言って、学校に来なくなりました。丁度、一家に6、7人目の子が生まれた頃だと思います」

転校前の小学校では集合写真で笑顔を見せていた颯太くん

 必死に赤ん坊の世話をしていた颯太くんは姉とともに日中、ベビーカーを押す姿が近隣で頻繁に目撃されている。

 当時、母親は看護師として近所の病院で働いていたが、生活は苦しかったという。

「低学年の頃、給食で魚がでたときに『うちでは小さい魚をきょうだい皆でわけて食べているんだ』『皆の家は違うの?』と颯太くんが言ったので、子どもがとてもショックを受けていました。写真の頃は既に不登校気味でね。昼夜逆転の生活も多かったようで、学校にもなかなか来られていなかった。

 それでもお昼前、お姉ちゃんや2つ年下の弟と一緒に登校して、給食を食べにきていました。颯太くんは特にカレーが大好きで、給食の献立がカレーの日はよく来ていました。給食費は未納だったけど、先生も保護者も事情をわかっていたから何もいわなかった。『お腹いっぱい、給食を食べに学校おいで』と…」(同前)

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