「親戚が多くて…」嘉弥真投手のびっくりエピソード
そんな嘉弥真投手に関する、最近好きなエピソードが「親戚が多くて、集まるとトイレに行列ができる」というもの。
行列というくらいだから、年末ジャンボ宝くじの売り場くらい並んでいるのだろうか……(笑)。
家系図をたどってありったけの顔も知らない親戚を集めてみたら、たしかにうちもそれなりの人数にはなるだろうが、トイレのタイミングは人それぞれなので待ったとしても一人か二人待ちのはずだ。よほどの行列に違いない。
以前、出演しているテレビ番組のインタビュー取材で明かしてくれたのだが、親戚が100人以上いるという沖縄県・石垣島出身の嘉弥真投手(ファンの間では有名な話だ)。これまでも何度かあった沖縄での試合の際には、“嘉弥真一族”がスタンドの一角を占めているのだそうだ。
そうなったら全員で体育祭の時みたいに「KAYAMA」と人文字を作れるではないか……! 下手すると「火消しの」までいける気がする。
……想像するだけで楽しそうである。
私も参加したい。
そして、私生活では2児の父でもある嘉弥真投手は、奥様と可愛い子供達と家族全員、毎晩並んで寝ているらしい。想像するだけで微笑ましい。
どんな子育てをされているのだろうか。また、子育てのモットーはなんだろうか。
取材時間の関係で聞けなかったが、いつか必ず聞いてみたい。
もしも嘉弥真家のホームドラマがあったら、私は絶対に毎週録画するだろうし、はたまたラジオで「嘉弥真新也の“ちょっと聞いてよ、カヤマさん”」というコーナーがあれば、読んでもらえるまでハガキを送る。
時には世の中の悩める人々に、ワンポイントアドバイスが欲しい。
ワンポイントリリーフだけに……(え?)。
どこかゆるりと肩の力が抜けた佇まい。だけどどっしりとした空気感もあって、いつのまにか相手の心を開かせてしまう。不思議な魅力がある方だなぁ、と話を聞きながら思った。
「他人が出したランナーだし…」
そんな嘉弥真投手だが、今季は21試合連続無失点という記録も(目立っていませんが、凄いです!)残すなど抜群の安定感を誇っているが、毎回毎回ピンチの場面でマウンドにあがるというのはとてつもないプレッシャーのはず。
どんな思いであの場に立っているのかと聞いてみると、「他人が出したランナーだし、と思っています」とあっけらかんとした返答が返ってきた。
その言葉だけだと無責任なようにも聞こえてしまいそうだが、「あえて」そう思うことで気持ちのコントロールをしているのだそうだ。
2017年、サイドスローに転向後、毎年50試合以上投げているが、毎試合毎試合ヒリヒリするような場面での登板がつづく。
「大事な場面では足が震えることがあります。でも『今、この場所に立てるのは僕しかいない』という気持ちで投げています」
それだけの準備をしてきたからこそ、ここまでやったからこそ、絶対に大丈夫だ、とマウンドへ向かう。思うような結果が残せなかったという去年の悔しさを今年の投球にぶつける。
話している時のおだやかで柔らかい空気とは真逆の、しなやかな芯の強さが感じられた。
噛めば噛むほど味が出る魅力がある人を「するめ」に例えたりするけれど、マウンドでの嘉弥真投手はなんだか「山椒」みたい……。出てくると、相手チームにピリリと刺激を与える存在感。絶対に打てない、鉄壁のリリーフ。無類の薬味好きな私はいつもそう思っている。
ときに嘉弥真投手はたった1球で交代することもある。それはつまり、1球でバッターを片付けてマウンドから降りる……ということだ。
そんな時私は、「一球速報」のアプリを開いてニマニマしてしまう。
「1球しか投げてない! すごっ」
プロフェッショナルの極み……。
ピッチングも人柄も、やっぱり唯一無二だ。
そんな嘉弥真投手は昨シーズン、国内FA権を取得したが行使せずにホークスに残った。理由は、「福岡が好きだから」。ファンにはこんなに嬉しいことはないと思う。
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