現地報道によると、バルボサ容疑者は親族にかくまわれている可能性があり、現地当局の担当者は日本からの正式な依頼があれば「代理処罰」などの手続きに入る可能性を指摘。ニュースサイト「G1」は現地時間9月2日の最新情報として、バルボサ容疑者がブラジル国内にいることを弁護士が認めたと報じた。
SNSでこの事件にコメントをしているブラジル人にメッセージを送り取材したところ、多くの人がこう口を揃えた。
「女子供に手をかけるなんて絶対にブラジルの人は許さない」
南米の文化に詳しい記者が解説する。
「フェミサイドは厳罰化」ブラジル国内で非難噴出のワケ
「ブラジルでは2002年まで家父長制がとられており、現在でも男は家族を守れるよう強くあらねばならないという考え方が主流です。翻せば女性は妻や母親としての役割を強いられることが多く、社会的地位が低い。
そうした風潮も手伝ってか、長らく女性が犠牲になる性犯罪や殺人が横行し、社会問題になっていました。そこで2015年に政府がフェミサイド(性別を理由に男性が女性を殺害すること)の厳罰化を決定。新しい法律が制定されました。その後、フェミサイドに関する犯罪の一斉検挙が行われたこともあります。そうしたことから女性への犯罪に対する嫌悪感は凄まじいものがある」
国内に住むブラジル人女性もこう話す。
「彼を見つけたら、警察につき出す人も多いはずよ。だから自分から出頭しようとしているんじゃないかしら。事件のせいで、日本で真面目に生きているブラジル人全体のイメージが悪化してしまうのが恐ろしいです」
日本はブラジルとの間には犯罪人引き渡し条約を結んでいないため、バルボサ容疑者を府警が逮捕するにはさまざまな障壁がある。「代理処罰」として、ブラジルが自国の法律で裁く可能性もあるが、高度な司法外交が求められそうだ。
今週にはバルボサ容疑者本人がメディアに対して事件について説明する予定。国内外の取材に弁護士は「彼が帰宅すると嫁と娘が亡くなっていた」「彼は無罪だと言ったことは一度もありません。いま報道されている状況よりもっと複雑な事情を彼が説明する」などと応じている。
捜査の行方が注目される。