文春オンライン

2022/10/21

 カカオトークから始まった事業はどんどん業種を拡げ、2017年頃には81社だった傘下企業は、現在130社近くに膨らんでいる。

 韓国ではこれまでにもオンラインサービス障害はあったが、今回のような大規模なものは前代未聞。尹錫悦大統領も週明けのぶら下がりで記者から「カカオの市場占有率が大きいためこんな事態になったといわれるが」という質問に、「もし、独占や著しく寡占している状態により市場が歪んでいたり、さらにそれが国家基盤のインフラのようなものならば国民の利益のために当然、制度として国家が必要な対応をとるべき」と言及。

 2年前、通信会社の「KT」で同じようなサービス障害が起きた際、政府は同社を通信災難防止管理対象とした。この時はカカオやNAVERなど他のIT企業は猛反発し、対象から外されたが、今回の事態を受けてあらためて対象とする声が国会で出始めている。

社会がデジタルに翻弄される恐怖

 前出IT業界関係者は、しかし、こう反発する。 

「カカオもNAVERも私企業でKTのような基幹通信事業社ではありません。企業ごとに障害防止をすすめればいい話で、政府の管理、監督下に入るなんてありえない」

 カカオトークのサービス障害により、翌日107万人がLINEやテレグラムへ加入していることが分かっている。

©iStock.com

 そういえば、LINEが日本に登場したのは2011年の東日本大震災直後だった。電話もメールも機能しなかった時に電話回線を使わない社会インフラとして登場したのがLINEだ。メッセージが既読になるだけでどれほど安心したことか。

 デジタル社会の脆弱性を見せつけた今回のカカオ障害。そもそもデジタル社会は人々の暮しが便利で快適なものになることが肝だと思うが、安全面がこれほど軽んじられていたことは驚きでもあり、これほど社会がデジタルに翻弄されるのかと恐怖も感じた。

 カカオがあまりにも韓国の人々の生活に入り込んでいるということもあるが、筆者もひとつのプラットフォームに頼るのは危険だとしみじみ。幸い、金融関係はカカオを使っていなかったので支障はなかったが、もしもの時のために韓国語を使うメールはダウムメールからNAVERに変えた。

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