「脅したつもりはありません。誓約書にのっとって手続きしただけです」
「メンズエステでよくある“誓約書”というシステムを巧妙に使った手口だ」と話すのは、自身も都内でメンズエステ店を経営する男性だ。
「メンズエステは風俗店ではないため、性的サービスの提供は風営法で禁止されていて、入店時に『性的サービスは求めない』といった内容の誓約書に署名をすることもよくあります。ただほとんどの場合それは“タテマエ”で、実際にはセラピストと客の個人間の交渉で性的サービスが行われ、店側も黙認しているパターンが多い。黙認どころか、店側が客を集めるためにセラピストに“ヌキ”や“本番”を指示する実質的な風俗店も少なくないのが現状です。
だからこそ誓約書にサインする時に警戒感を持つのは難しいと思います。しかし『サインしただろ』と言われれば客側は言い返せなくなってしまうんです」
捜査の端緒となったのは今年9月から「高額の料金を請求された」という通報が警察に相次いだことだった。一方、店側からの「客が金を払わない」という“逆通報”も警察には届いており、逮捕された従業員らも「脅したつもりはありません。誓約書にのっとって手続きしただけです」「本当にいい迷惑です」と自らの正当性を強調する供述をしている。
女性セラピストも「お客さんがしつこかったので助けを求めただけで、その後のことは知りません」と供述しており、逮捕された14人全員が否認している状況だという。
「最初からマッサージではなく、恐喝で金を稼ぐことを目的に店を経営していたのでは」という推測も流れている。全国紙社会部記者が解説する。「脅し方が『いかにも反社』といった感じですよね。施術中に女性セラピストの体を触った瞬間に男性スタッフが駆け込んできて『女の子から連絡が来た。下腹部を7回くらい触っただろ。女の子は仕事を辞めたいと言って泣いている。誓約書に書いている通り100万円払え』『警察を呼ぶぞ』と脅したようです。
男性客が警察に通報しようとすると、スマホを奪いとったり暴力をちらつかせたこともあるようです。店の経営も男性客から奪った金で回していたようなので、実質的には組織的な美人局といっていいでしょう」