今はミッドフィルダーとしてもプレー。フォワードへのこだわりは?
――今はストライカーじゃないポジション、インサイドのミッドフィルダーで起用されていますが。
岡崎 監督は運動量があり、走れる選手が好みみたいです。ちょうどFWの選手が調子がいいので、僕がポジションを下げた形になりました。プレスのかけ方や守備の仕方、ボールのつなぎ方など……今まで僕がやってきたことが活かされている状態です。
――レスター時代もそれで生き残ってきた。
岡崎 結局戻ってくるんですね(笑)。当時はミッドフィルダーでプレーすることに居心地の悪さがありましたが、今はそのチャレンジも楽しいんです。以前なら個人の結果、ゴールに強いこだわりを持っていた面が強かったけれど、今はそれプラス、チームの勝利のための仕事をしたいと考えるようになりました。それこそ、守備でのインターセプトやアシストでもいいから。シントトロイデンのチームの結果を押し上げたい。このままnumber8のポジションを追求していくのも面白いかもしれません。
ーーそういえば、シュトゥットガルト時代も「ヨーロッパでMFとしてどこまでできるかを極めたい」と話されていました。それでも結局ストライカー、FWとしての自身の欲であるゴールを追い求めてきた。けれど、なかなか報われる時間は少なかったように思います。
岡崎 言っていましたね。結局また帰ってきました(笑)。でも、常に、どのポジションでも点を獲るというのを自分の武器にしたかったし、そういう欲がありました。ゴールは日々の葛藤が報われる瞬間でもあるので。
――そうやって結果に繋げていかないと、チーム内の生存競争に勝てない。
岡崎 そうですね。今与えられた仕事で力を尽くすというのは、結局プロになって以降、ずっと変わらないということですね。
もがいて、ボロボロになって自分を探していることが楽しい
――そのために考え抜き、悩む日々だと著作の『岡崎慎司 悩む男。』でも綴られていましたね。
岡崎 10年余りヨーロッパでプレーしてきた時間は本当に悩んできた歴史です。一時はそういう悩む時間が無くなれば、これからの日本の選手がもっとヨーロッパで活躍できるんじゃないかと思ったこともありましたが、でもやっぱり自分の欲を満たす、満たしたいという執念があるから悩むわけで、それがないと成長できないとも感じています。そもそもまだ報われていない。日本へ戻って「ヨーロッパの経験」を過去形で語るには、まだまだ味わい尽くせていないから。日本でフォワードを任されるより、ヨーロッパでもがいて、自分探しをしているほうが楽しいなと思っています。
――もっともっと、ボロボロになるまで探求し続けるんですね。
岡崎 そうですね。たまに「早く終わらせてくれよ」と思うこともなくはないですけど(笑)。やっぱり競争社会のなかで、この年齢でも生き残るということに魅力があります。これから4年後のワールドカップを目指すかもしれないし、逆にワールドカップや日本代表というモチベーションがないぶん、今までとは違う挑戦ができるんじゃないかと思っています。
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