1ページ目から読む
2/3ページ目

なぜ、そこまでワールドカップに引き寄せられるのか

――ロシア大会からの4年間、過去の大会以上に「ワールドカップに出たい」と公言されてきた印象があります。

岡崎 2008年に代表に選ばれて以降、2010年、2014年、2018年と3回のワールドカップを経験していますが、アジア予選を戦ってきたこともあって、ワールドカップメンバーに選ばれるのは当然というか、はっきりと大会を目標として感じる毎日でした。でも、今回はそうじゃなかった。入れるかどうかもわからない。元日本代表としての挑戦でした。

 でも、これってある意味自然のことというか、多くの選手が味わう体験だったと思います。僕がヨーロッパでプレーし続ける理由のひとつには、ワールドカップがありました。世間から見れば、岡崎は代表のルートから外れていると思われていただろうけれど、僕自身は常にその可能性がある場所に立ち続けようとしました。でも、実際は代表とは遠い場所に立たざるを得ない状況だったと思います。それでも、高い目標を持ち続けられた。

ADVERTISEMENT

 そこに妥協はなかったし、苦しい時間があってもワールドカップがあるから、頑張れた部分もあります。それは僕にとって大きな糧になったし、これからもこの経験が力になると思っています。

 

――なぜ、そこまでワールドカップに引き寄せされるのか?

岡崎 簡単に説明するのは難しいですね。ただ実際にワールドカップを経験していることが大きいと思います。悔しい経験とか、魅力的な経験をしているから、こだわりが違うのかもしれません。ワールドカップで活躍すれば評価が変わる経験もしたし、今まで自分がしてきたことが報われるのがワールドカップという一面もあるので。その執念があるから、ヨーロッパで頑張れたことは確かですね。

――カタール大会を目標に走ってきた4年が終わりました。今後についてはどんなふうに考えていますか?

岡崎 正直なところ、代表というモチベーションが無くなってしまうと、どんなふうになるんだろうと考えることはあります。だから今は真っ白な状態ですね。でも、じゃあ、日本へ戻るか、引退するかということを今は考えていません。

 

――ヨーロッパで戦い続けると。

岡崎 シントトロイデンには、香川真司のほか日本人選手も何人も所属しているし、若い選手が多くて、みんなもっと上へ行きたいという野心に満ちあふれています。そういう選手といっしょにいるのは心地いい。そういうなかで僕も「イタリアでプレーしたいな」って、素直に夢を口にできる。日本へ戻ってしまったら、その言葉に説得力もなくなるだろうし。まあ、周りの若手がどう思っているのかわからないけれど、「オカさん貪欲ですね」って言われながら、やっているのも楽しいんですよね。