2018年、ワールドカップロシア大会決勝トーナメント1回戦でベルギーに敗れた日本代表からは、長谷部誠、本田圭佑、酒井高徳らが代表引退を表明することになった。しかしこのとき岡崎慎司は「カタール大会を目指す」とハッキリと公言していた。だが、カタールまでの4年間は、彼が描いた予想図通りには進まなかった。(全3回の3回目/#1、#2を読む)
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「ドイツに逆転勝利! 興奮しましたね!」
――ワールドカップカタール大会初戦のドイツ戦はどこで見たんですか?
岡崎 シントトロイデンのクラブハウスでチームメイトといっしょに見ました。
――ドイツに逆転勝利です!
岡崎 興奮しましたね。こういうサッカー、勝ち切るためにどうするのかを遂行できる日本代表チームになったことが嬉しかったですね。
――どのような心境でしたか?
岡崎 代表に入れなかったことで、自分のなかでひとつ区切りがついていたから、冷静に見ていましたよ。試合を観戦後、すぐにチーム練習だったんですが、いきなり45分のゲーム形式でした(笑)。喜びに浸ることもなくて。
――そのシントトロイデンには2022年夏に加入しましたね。しかも、練習参加からオファーをもぎ取った。
岡崎 ワールドカップまで残り半年。ロシア大会後に描いていたイメージ通りにはいかなかった4年間でした。欧州の主要リーグでプレーしていれば、代表に入るチャンスがあると考えていたけれど、毎シーズン終了後に所属クラブを探すのも苦労しました。ワールドカップまで残り半年。今回、練習参加をしたいといっても、36歳の年齢のせいか、それすら受け入れてもらえなかった。そういうなかシントトロイデンから参加の許可を得ました。ドイツ人監督は「お前は第2の長谷部か」と僕の走力や運動量に驚き、評価をもらえたんです。
――加入後はほとんどの試合で先発出場し、試合中の走行距離もチーム1位に輝くほどですね。
岡崎 正直、4年前よりもコンディションはいいです。
――それでも、メンバー入りはできませんでしたね。
岡崎 メンバー発表まで「あと何日、あと何試合」となった時点で、すべて僕自身に課せられていると考えていました。ようはゴールを決めさえすればいいということ。非常にシンプルなことでした。でも結果は1得点。だから、スッキリしている面はあります。
――ワールドカップで日本代表が強豪国と闘うことを考えれば、フォワードの仕事はゴール数だけで測られるものではないとは思いますが……。
岡崎 そういう面もあるでしょう。でも僕自身、ゴールを決めることで、キャリアを切り開いてきたストライカーですから。代表に限らず、クラブでもそうです。やっぱり得点数という数字は重要なんですよ。