11月23日、サッカーW杯で初戦を迎えた日本は、優勝4回の強豪・ドイツと対戦。前半は押される展開からPKを献上し先制点を許すも、後半から途中出場した堂安律と浅野拓磨が連続してゴールを決めて2-1と、歴史的逆転勝利を果たした。

 試合前の会見では、ドイツ代表のキャプテンであるマヌエル・ノイアーが日本で最も警戒している選手について、鎌田大地選手を名指ししたことも話題になった。「世界最高のGK」も認めた“日本代表のキーマン”、鎌田大地とはどんな選手なのか? 両親が秘話を明かした「週刊文春」の特集記事を特別に無料公開する(初出:週刊文春 2022年12月1日号 年齢・肩書きは公開時のまま)

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「W杯メンバーに選ばれた後、『頑張れよ』とLINEすると『頑張るわ!』と頼もしい返信がきましたね」

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 こう明かすのは、11月20日に開幕したサッカーW杯カタール大会の日本代表MF・鎌田大地(26)の父、幹雄さん(53)である(全2回中の2回目/前編から続く)。

「自分のせいで3年生の先輩たちを引退させてしまった」

「家族とも話し合い、ガンバのユースには行かないと決めてはいましたが、クラブから『上がれない』という評価を受けたことにショックを受けていた」(同前)

 高校は関西の有力選手を集め、強豪校になりつつあった京都の東山高校に進学。当初は寮生活を送っていたが、高2の時に幹雄さんが関西に転勤となり、兵庫県尼崎市で父子2人暮らしをスタートさせる。

「料理なんてしてこなかったのに、『残りもんでええよー』って言われ、1回だけ弁当を作ったことがあります。でも中身が片方に寄ってしまい、『もう無理して作らんでええわー』と言われました(笑)」(同前)

©杉山拓也/JMPA

 高1の頃までクラムジーに悩まされていた鎌田だったが、高2でようやく才能が開花。プリンスリーグ関西で22ゴールを決め、得点王に輝いた。

「高1の時、高校サッカー選手権の京都府大会の決勝で鎌田がシュートを外して敗れ、『自分のせいで3年生の先輩たちを引退させてしまった』と悔やんでいた。そこからエースとしての自覚が芽生え始めたのです」(サッカーライター)

「僕を使ってください!」

 高校卒業を前に複数のJ1のクラブが興味を示すも、鎌田が選んだのは中堅クラブのサガン鳥栖だった。入団の初年、鎌田は森下仁志監督(当時)にこう訴えた。

「僕を使ってください!」

 それは、ただの“ビッグマウス”ではなかった。